規正法改正「筋書きなき審議」=与野党協議の枠組み見えず
政治資金規正法改正案の国会審議が23日、本格化した。野党は企業・団体献金や政策活動費の見直しを迫るが、自民党が譲歩する気配は見られない。改正案の来週中の衆院採決が視野に入る中、法案修正のための与野党協議は枠組みすら固まっておらず、「筋書きなき審議」(立憲民主党中堅)が進んでいる。
「企業・団体献金は許容される」。23日に衆院政治改革特別委員会で始まった各党案を巡る質疑で、自民案提出者の鈴木馨祐氏がこう力説すると、質問者の木原誠二幹事長代理は企業・団体献金禁止を掲げる野党を皮肉るかのように「制限ではなく正していくのが規正法だ」と語った。
野党各党は自民案提出者に集中砲火を浴びせた。政治資金パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「10万円超」に引き下げる案にとどめた理由を自民が「切りが良い」と説明すると、立民の柚木道義氏は「売り上げが下がるからだ」と批判。日本維新の会の青柳仁士氏は自民の政策活動費見直し案を「現状が存続する」と切り捨てた。
青柳氏は審議の中で「自民案を絶対に通してはいけない」と「野党共闘」を提唱。共産党の塩川鉄也氏が企業・団体献金を巡る認識を問うと、立民が「賄賂性が高い」、維新が「政策決定をゆがめる弊害」と足並みをそろえて応じ、野党各党が連携して自民に譲歩を迫る場面もあった。
特別委の日程は24日の審議、27日の参考人質疑まで決まっている。今国会の会期末はちょうど1カ月後の6月23日。同月中旬には岸田文雄首相(自民総裁)の外遊も控えている。首相が目指す今国会成立を会期延長なしに実現するには、来週中の衆院通過が望ましいとの見方が自民内で強い。
ただ、そのカギと目される与野党協議は、いつ誰が行うのかさえ決まっていない。公明党幹部は「まだ各党協議の枠組みも分からない」と戸惑いを隠さない。立民国対筋は「自民のシナリオが読めない。この審議は未経験ゾーンだ」と語った。
自民は与野党協議の前に野党の一部から協力を取り付けるシナリオを探っているようだ。公明、維新との協議の頓挫を踏まえ、自民の木原氏は23日、国民民主党の古川元久国対委員長に自民案の内容を説明。しかし、古川氏は記者団に「もっと早い段階から協議すべきではなかったか」とにべもなかった。
自民が孤立感を強める中、立民は「野党プラス公明で自民に譲歩を迫る形がベスト」(安住淳国対委員長)と勢いづく。しかし、野党内にも不協和音は絶えない。パーティー禁止を主張する立民の大串博志選対委員長が来月のパーティーを計画していることが明らかになると、国民幹部は「やれないことを言うな」と突き放した。
[時事通信社]
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