長期金利、11年ぶり1%台=日銀正常化観測で上昇
22日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債(第374回債)の流通利回りが1%ちょうどに上昇(債券価格は下落)した。1%台に乗せるのは2013年5月以来、約11年ぶり。最近の円安進行を受け、日銀が3月のマイナス金利解除に続く金融政策の正常化に踏み切るとの思惑が市場で拡大。価格下落を見込んで債券を売る動きに拍車が掛かっている。
金利上昇は、日銀が今月13日の公開市場操作(オペレーション)で、国債買い入れ額を唐突に減らしたのがきっかけだった。市場では「急速な円安に対応した措置」(国内証券)との見方が広がり、日銀が本格的に国債購入の減額に乗り出すとの観測が浮上。長期金利は、黒田東彦前総裁が打ち出した「異次元緩和」直後の水準に上昇した。
みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「日銀は6月の金融政策決定会合で、月間6兆円の国債買い入れ方針を5兆円程度に引き下げる可能性がある」と指摘する。市場では、日銀が原材料など輸入品の値上がりにつながる円安に歯止めをかけるため、政策金利の引き上げを前倒しで行うとの予想も広がり始めている。
ただ、利上げは利用者の多い変動型住宅ローンや銀行融資の金利上昇を招き、景気に悪影響を及ぼすリスクがある。また、国債買い入れを減額して長期金利が過度に上昇すれば、政府の国債利払い費が膨らんで財政を圧迫する。金融正常化を進める日銀は政策運営で難しいかじ取りが求められそうだ。
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