「協調領域」見極め焦点=システム共通化、課題山積―自動車新戦略案
次世代自動車に関する政府の新戦略案では、官民を挙げて車のシステム共通化に取り組む方針が示された。車載ソフトの分野では米国や中国が先行しており、政府は出遅れを挽回すべく国内自動車業界の連携を狙う。だが、日本勢は目指す方向性や開発スピードにばらつきがあり、競合する各社が協調可能な領域を見極め、手を組めるかどうかが焦点となる。
戦略案では、高度な電子機能を備えた「SDV」と呼ばれる次世代自動車で、日本勢が2030年に世界シェアの3割を確保する目標を掲げた。国内ではトヨタ自動車やホンダが本格的なSDVの実用化に向け、それぞれ独自の基本ソフト(OS)開発を進めている。
だが、米電気自動車(EV)大手のテスラは既にオンラインで電池容量の拡充などができる仕組みを整備。中国EV最大手の比亜迪(BYD)も多くの車両で高性能の音声認識機能を搭載するなど、日本勢と比べるとはるかに先を走っているのが実情だ。
戦略案はデータ面での連携を強めるため、システム同士をつなげる「API」の仕組みを25年以降に標準化するスケジュールを描く。ただ、車載ソフトの開発は「各社の取り組みに温度差があり、方針も一枚岩ではない」(東海東京インテリジェンス・ラボの杉浦誠司シニアアナリスト)。
政府がメーカー同士の連携を急ぐのは、各社が自動運転に不可欠な走行データを共有しないと無駄が多い上、開発自体の遅れを招きかねないからだ。だが、各社は「それぞれが強みを持つ技術で勝負したいという思いがあり、協議はなかなか進まない」(自動車大手幹部)とされ、思惑通り協調できるかどうかは不透明だ。
[時事通信社]
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