裁判員経験者延べ12.4万人=選任減少、審理長期化も―21日、制度導入15年
市民が裁判官と共に刑事事件の審理や判決に関わる裁判員制度で、これまでに延べ約12万4000人が裁判員や補充裁判員に選ばれたことが19日、最高裁の公表資料から分かった。同制度は21日で導入から15年。近年は選任される人が減少し、審理は長期化する傾向が見て取れる。
この間、裁判員に選ばれる年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられる制度改正もあり、積極的な司法参加や、迅速な裁判と充実した審理の両立などが引き続き課題となりそうだ。
最高裁の統計速報によると、今年2月までに裁判員や補充裁判員に選ばれた市民は延べ12万4017人。導入翌年の2010年は同1万1740人、11年は同1万1804人に上り、当初は年間1万人超が参加していた。
ただ、対象事件は減少傾向にあり、選ばれる裁判員も14年には同1万人を割り込んだ。22年は同5940人、23年も同6324人にとどまっている。
裁判員に選ばれる可能性のある候補者のうち、辞退が認められた人の割合は09年が53.1%、10年は53.0%だったが、その後は上昇。近年は60%台後半が続いている。
公判前整理手続きを含む1事件当たりの平均審理期間は自白事件が多かった09年が5.0カ月、否認事件の審理も本格化した10年は8.3カ月だった。コロナ禍で裁判が延期された影響もあり、20年以降は4年連続で1年以上となり、23年は13.2カ月だった。
23年からは裁判員や補充裁判員に選ばれる年齢が18歳以上となった。最高裁のアンケート調査結果によると、同年に選ばれた18、19歳は少なくとも、裁判員が26人、補充裁判員が12人だった。
あるベテラン裁判官は「10代の参加による影響は確定的なことが言える段階ではない。長期的に見ていく必要がある」と話している。
[時事通信社]
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