2024-05-18 03:50経済

紙の職員録、希望多数で復活=廃止1年、電子版と併用―愛媛県

紙冊子で発行された2018~22年度版の愛媛県職員録=16日、松山市

 自治体職員の名前や所属、内線番号を網羅した「職員録」。近年電子化する取り組みが各地で進む中、愛媛県は今年度、一度廃止した紙版を電子版と併用する形で復活させることにした。ペーパーレスの時代にも、すぐに使える紙冊子を求める多くの職員の要望に応えた。
 県は昨年度、紙冊子の発行をやめ、電子版を庁内ポータルサイトに掲載。年間180万円ほどの印刷費を削減した。しかし、人事課と県職員消費生活協同組合(生協)によると、一部職員が紙版を要望。生協が職員アンケートを行ったところ、1311人のうち約6割の771人が「紙での販売を希望する」と答えたため、復活を決めた。
 紙版はこれまで各部署や報道機関に無償で配り、さらに必要なら生協で購入を促していた。今年度からは無償配布せず全て有料に。価格は生協員が1000円、外部は1800円と以前と同額。2022年度は約4400部を発行したが、今年度は2000部ほどに減らす。庁内で希望を募り、5月下旬から販売する予定。
 人事課は電子版の導入の際、検索や索引の機能を取り入れ、利便性向上に努めた。担当者は、要望が多かった理由を「紙で保管したい人もいるのでは」とみる。紙冊子は毎年400ページほどと決して薄くはないが、庁内からは「職員の過去の所属を知りたいときに便利」(40代男性)、「紙は見たいときにすぐ開ける」(50代男性)との意見が聞かれる。一方で「検索できるから電子でいい」(20代女性)との声も。
 県が21年に策定したデジタル総合戦略では「ペーパーレス化の推進」が明記された。県はこれに沿って報道資料や議案書などを完全電子化してきたが、職員録は現時点で難しいようだ。ある幹部は「本当にアンケートの結果なのか。信じたくない」と落胆。別の幹部は「電子書籍がありながら紙の本があるのと同じ。紙も良しあしある」と評価していた。 
[時事通信社]

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