最高裁、障害者に配慮措置=スロープ設置、手話通訳補助も―29日強制不妊訴訟弁論で
最高裁は16日、旧優生保護法に基づき不妊手術を強制されたとして全国の男女が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審弁論で、原告側の車椅子利用者のために低角度のスロープを設置するなどの配慮措置を取ると明らかにした。最高裁が障害者向けに大規模な対応をするのは初めてという。
弁論は29日に大法廷で開かれ、札幌、仙台、東京、大阪、神戸の各地裁に提訴された5件について審理される。
最高裁によると、原告側は障害者の入廷や傍聴で合理的な配慮措置を要望。交渉の結果、最高裁は弁論への参加が見込まれる車椅子利用者の移動中の事故などを回避するため、低角度のスロープ設置を決めた。
大法廷にはモニターを6台設置。聴覚障害者らが理解しやすいよう、訴訟当事者が用意した資料や文字に起こした陳述内容を映す。盲導犬の同伴も認め、車椅子利用者のスペースを傍聴席後方にも確保する。一方、原告側が求めていた手話通訳者の手配は受け入れなかった。
法廷外での整理券交付や所持品検査では、初めて手話通訳者によるサポートを実施。車椅子利用者や代理人のための臨時控室も用意するという。
また、ホームページの「開廷期日情報」に掲載された強制不妊訴訟の概要を知らせる文書で漢字にふりがなを振るなど、情報提供も工夫した。
障害者差別の解消推進を目的とした最高裁の対応要領では、障害を理由とした差別的取り扱いを禁じ、職員の負担が過重ではない場合に合理的配慮をしなければならないと定めている。
[時事通信社]
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