火星の有機物、COが起源=30億年前、大気中から―東工大など
米航空宇宙局(NASA)の火星探査車による掘削調査で約30億年前の火星の堆積物から見つかった有機物は、大気中にあった一酸化炭素(CO)から生成されたことを東京工業大などの研究チームが突き止めた。初期の地球でも同様の仕組みが考えられるといい、生命の起源を解き明かす手掛かりになると期待される。論文は14日までに、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに掲載された。
火星の有機物に含まれる炭素は、植物の光合成から作られる地球の有機物と比べ、炭素13という同位体の比率が極端に少ない。ただ、その理由はよく分かっていなかった。
東工大の上野雄一郎教授らの研究チームは、主に二酸化炭素(CO2)から成る火星の大気を模した気体に太陽光(紫外線)を当てる実験を実施。CO2が分解してできたCOに含まれる炭素を調べたところ、火星の有機物と同様に炭素13の比率が低いことが分かった。
現在の火星では、COは大気中の酸素と再結合してCO2に戻るが、初期の火星は酸素が少なかったため、水素や窒素などと結び付いて有機物の形で地表に堆積。計算上、大気中のCO2の約2割がCOを経て有機物となり、今も大量に地中に埋まっている可能性があるという。
酸素が乏しかった生命誕生以前の地球でも同様の反応は起きていたとみられ、上野教授は「有機物が作られ続ける環境が初期の地球や火星に整っていたことが重要なのではないか」と話した。
[時事通信社]
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