アルペンスキーで初メダル=デフ五輪、来年の日本大会にも意欲―「存在知って」・仙台大の村田悠祐さん
3月にトルコで開催された冬季デフリンピック(デフ五輪)で、仙台大学(宮城県柴田町)2年の村田悠祐さん(19)がアルペンスキー大回転で銀メダルを獲得した。同種目のメダル獲得は日本男子初。来年11月に日本で初開催される夏季大会には陸上競技での出場を目指しており、「デフ五輪には未来への希望になれる力がある。多くの人に存在を知ってもらいたい」と力を込める。
長野市出身の村田さんは生まれつき耳が聞こえず、スキーを始めたのは2歳の時だった。両親と訪れたスキー場で夢中になり、小学5年でアルペンスキーを始めた。デフ五輪で日本人男子がメダルを取ってないと知り、「自分が最初に獲得する」と決意。長野県内のクラブチームに所属して練習を重ねた。
東京都内の高校に進学したものの、スキー部がなかったため、土日や長期休暇を利用して長野に通い、同じチームで練習を続けた。「雪山だと紙がくしゃくしゃになり筆談はできない。コーチが少しずつ手話を覚えてくれて、一対一で教えてもらった」と明かす。
陸上との「二刀流」を始めたのは高校1年の時、陸上部顧問から体力を付けるために誘われたのがきっかけだった。「1年間ずっとスポーツをしていたが、体を動かすのが好きでやりがいもあった」と振り返る。
体育の勉強ができ、聴覚障害者へのサポートが充実していることから仙台大に入学した。3月に初めて挑んだデフ五輪では、トップとの差はわずか0.11秒。「本当にわずかな差。金メダルが取れず悔しい気持ちと、日本人初のメダルでうれしい気持ちのどちらもあった」と述べる。
来年の夏季大会では400メートルハードルなどでの出場を目指す。仙台大には陸上100メートルで日本人初の金メダルを獲得した佐々木琢磨さん(31)が職員として在籍しており、「彼の技術を学び、自分でできるようになれば出場できる」と意気込んだ。
[時事通信社]
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