生物発光の起源、5.4億年前=ウミエラなどの祖先で獲得か―進化解明の手掛かり・国際チーム
ホタルやウミホタル、鳥の羽根のような形のウミエラなどが自ら光る「生物発光」の起源は、遅くとも約5億4000万年前のカンブリア紀初期にさかのぼる可能性が高いことが分かった。米スミソニアン自然史博物館や名古屋大などの国際研究チームが11日までに英王立協会紀要に発表した。
ウミエラやウミサボテンなど、動物の中でも原始的な刺胞動物の「八放サンゴ類」の共通祖先が、約5億4000万年前に発光能力を獲得していたと推定した。カンブリア紀初期は目を持つ動物を含め、多様な生物が出現した時代で、研究成果は発光が進化した謎を解明する手掛かりになると期待される。
生物発光は外部から紫外線などを受けて光る蛍光とは異なり、発光物質(ルシフェリン)と発光酵素(ルシフェラーゼ)による化学反応により生じる。発光物質は餌から取り込む場合があるが、発光酵素の遺伝子は祖先から引き継がれる。このためDNA解析で進化系統、化石で年代が分かれば、起源を推定できる。
昆虫のホタルについては、約1億年前の白亜紀半ばに出現した際は深い緑色に光り、敵から身を守っていたと、中部大と長浜バイオ大(滋賀県長浜市)、鹿児島大の研究チームが2020年に発表した。ウミホタルなどの「貝形虫」と呼ばれる小さな甲殻類は約2億6700万年前のペルム紀に発光能力を獲得していたと、米カリフォルニア大などの研究チームが22年に発表している。
発光する種は深海魚なども多い。防御やカムフラージュのほか、餌をおびき寄せたり、同種間のコミュニケーションで繁殖につなげたりするなど、さまざまな役割があると考えられている。発光する種が最初に出現した環境が浅い海だったか、深海だったかもはっきりしないが、国際研究チームは暗い深海で発光能力が発達したとの見方を示している。
[時事通信社]
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