政活費、廃止すべきだ=竹中治堅・政策研究大学院大教授―政治改革・識者インタビュー(3)
―自民党の派閥裏金事件への対応をどう見る。
不十分で、世間の納得を得られるものではない。裏金が始まった経緯を明らかにしないまま終わらせてしまった。安倍派幹部はみんな「知らなかった」と言っていたが、本当のことをどこまで言っているのか、疑問が残った。
―岸田文雄首相は森喜朗元首相への聴取内容も明かしていない。
本当のことは分からないが、仮に歴代首相の関与が明らかになれば収拾がつかなくなる。「不十分だ」と批判された方がましだと判断したのだろう。真相解明する気はないのではないか。
―企業・団体献金の廃止に自民は及び腰だ。
個人献金が根付いていない日本では致し方ない面もあるが、批判も当然ある。理想的には、個人献金をより充実させ、企業・団体献金への制限を徐々に増やしていくことが望ましい。
―使途の公開義務がない政策活動費も焦点だ。
不透明の温床なので、なくした方がいい。使途を明らかにしなくていい政治資金があるために、政治家自身が「領収書は要らない」と言われたカネを受け取ったときに、それが違法なのか合法なのか分からなくなっている。
―会計責任者だけでなく、政治家も責任を負う連座制などの導入も議論されている。
政治家の処罰にグラデーションがないのが問題だ。現行法では(罰金刑以上の)有罪になれば失職してしまう。連座制を導入する場合、失職につながるほどの不記載額がいくらか、国会議員が議員以外も交えて議論して決めるべきだ。100万円、500万円、1000万円などのラインが考えられるが、それ以下は罰金を払うものの失職はしないという仕組みが必要ではないか。
―衆院3補欠選挙で自民は「全敗」した。
国民の怒りの表れだ。「自民が政権を失うことはない」とみんな思っていたが、今のままだとそれほど甘くないかもしれない。仮に政権交代が起きれば、森氏の証人喚問などで徹底的に究明しようとなる可能性はある。
[時事通信社]
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