新興国のOECD参加後押し=岸田首相、来月上旬に仏・南米へ
岸田文雄首相は5月1~6日の日程で、フランスと南米のブラジル、パラグアイを訪問する。パリに本部がある経済協力開発機構(OECD)の閣僚理事会で2日に基調演説し、加盟交渉に入ったインドネシアなど新興国の動きを後押しする。3カ国の首脳とも会談し、連携強化を図る。
政府が25日の衆参両院の議院運営委員会理事会で訪問日程を報告した。
OECDは先進国を中心に38カ国が加盟する国際機関。このうち28カ国は欧米で、東アジアは日韓2カ国のみ。東南アジアはゼロだ。日本は今年、加盟60周年を迎え、5月2、3両日に行われる閣僚理事会で議長国を務める。
首相は演説で、加盟を目指すインドネシアやタイの動きを歓迎し、経済秩序の維持・強化へ加盟国やパートナー国を広げる必要性を訴える。生成AI(人工知能)利用や気候変動など、地球規模の課題への取り組みも説明する。
南米訪問は新興・途上国「グローバルサウス」への関与強化が主題となる。近年、南米では中国が存在感を強め、ブラジルやチリ、ペルーの最大の貿易相手国となっている。首相の訪問には日本企業の幹部らも同行する。投資拡大など南米経済との結び付きを深める狙いがある。
ブラジルはグローバルサウスの代表格で、今年の20カ国・地域(G20)議長国。ロシアや中国などと「BRICS」を構成する。首相は3日にルラ大統領と会談し、覇権主義的な中ロの動向を念頭に「法の支配に基づく国際秩序」維持へ認識を共有。植物由来のバイオエタノールや「持続可能な航空燃料(SAF)」など脱炭素技術協力を推進する。4日にサンパウロで中南米政策に関するスピーチも行う。
パラグアイは南米唯一の台湾承認国。ペニャ大統領との会談では、中国による外交攻勢の懸念も踏まえ戦略的な関係構築を目指す。日本の首相がパラグアイを訪れるのは2018年の安倍晋三氏以来で2人目。
[時事通信社]
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