財政健全化、なお課題=予算成立も議論深まらず
一般会計総額が過去2番目の112兆円台半ばに上る2024年度予算が28日、成立した。社会保障費や防衛費、国債費は過去最大を更新。日銀のマイナス金利解除で「金利のある世界」も視野に入り、借金頼みの日本財政は転換点を迎える。しかし、国会審議は「政治とカネ」を巡る問題にほぼ集中し、財政健全化に向けた論点の多くは積み残しとなった。
岸田政権は24年度予算で、新型コロナウイルス対策で膨らんだ歳出の「平時回帰」を目指した。金利上昇に伴い、国債(借金)の利払い費は今後大きく膨張する見通し。政府が6月ごろ策定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」では、新たな財政健全化目標が焦点となる。
鈴木俊一財務相は予算成立後、財務省内で記者会見し、金利上昇で利払い費が増えていくと「政策的経費が圧迫される」と懸念を表明。「財政の持続可能性への信認が失われることがないように適切なかじ取りが求められている」と述べ、歳出抑制や安定財源の確保に努める考えを強調した。
しかし、財政再建に向けた取り組みは道半ばだ。岸田政権は、支持率の回復を狙って6月以降に定額減税を実施するほか、ガソリン、灯油など燃料油の価格高騰を抑制する補助金の期限をさらに延長する方針だ。能登半島地震の発生を受け、政府が使い道を決定できる「予備費」も大幅に増額した。
国会審議は、政治資金の裏金化疑惑でたびたび空転し、少子化対策や防衛費増額など、政権肝煎りの重要政策の財源に関する議論が深まったとは言い難い。「子ども・子育て支援金」を巡っては、国民負担額に関する政権側の説明が二転三転。開始を先送りしている防衛増税では、定額減税との整合性が取れないと野党から追及されても、岸田文雄首相は「国民に負担をお願いしなければならない」と従来の苦しい答弁に終始した。
[時事通信社]
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