日本、EVトラックで巻き返し=中国メーカー台頭―タイ
【バンコク時事】日本車が高いシェアを維持してきたタイで、電気自動車(EV)最大手の比亜迪(BYD)をはじめとする中国メーカーが急速に存在感を強めている。日本勢は電動化で出遅れたが、トヨタ自動車やいすゞ自動車は今月、現地で人気が根強い「ピックアップトラック」のEV化を相次いで表明。巻き返しに向けた動きが表面化してきた。
「タイで採れたドリアンだよ」。26日早朝、バンコク近郊のアイヤラー市場は、威勢のいい売り子の声が飛び交う中、トラックで運んできた野菜を降ろす農家や、仕入れた果物を積み込む人々でにぎわっていた。目立つのは、乗用車に近い乗り心地と荷台を兼ね備え、乗用・商用の両方で使えるピックアップトラック。タイでは自動車需要の3分の1以上を占め、トヨタといすゞはこの分野でシェア首位を争う。
調査会社マークラインズによると、2023年にタイで自動車の販売台数が上位だった5社のうち、4社をトヨタやいすゞなど日本メーカーが占めた。一方、タイ政府の補助金などを背景に販売を急増させたBYDは前年の100倍近くに伸び、6位へ急浮上。前年比14倍となった中国・合衆新能源汽車のブランド「NETA」も10位に食い込んだ。
BYDと合衆新能源は今年中にタイ国内でEV生産を本格化させる見通し。これに対し、トヨタは26日、25年末までにピックアップトラック「ハイラックス」のEVモデルをタイで量産・販売すると発表。いすゞも今月中旬、タイで生産する同「D―MAX」のEVを25年から欧州に輸出し、タイでの販売も検討する方針を打ち出した。
とはいえ、EVは現段階で充電設備や走行距離などの面で課題を抱えており、トヨタは電動化について「ステップ・バイ・ステップでやっていく」(山下典昭タイ国トヨタ自動車社長)と時間をかけて慎重に進める姿勢だ。いすゞも「まずはEVを買いたい顧客の状況を調査する」(山口哲泰国いすゞ自動車社長)と情報収集を優先させる。
[時事通信社]
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