チーム支えた「伊藤監督」=アドバイスは熱く、冷静に―世界卓球
日本女子が銀メダルと健闘した卓球の世界選手権団体戦(韓国・釜山)で、ベンチの伊藤美誠(スターツ)が選手の正面に立ち、熱心に助言を送る姿が「伊藤監督」と話題になった。大会はパリ五輪代表の3人が軸となり、自身の出番は8戦のうち2戦にとどまったが、初出場した15歳の張本美和(木下グループ)らを支えた。
中国に2―3と肉薄した決勝。伊藤は「他の選手が試合をしている時に、こんなに気合が入ったのは初めてだった」と振り返る。感情を高ぶらせる一方で、「選手は集中し過ぎて見えなくなってしまう部分がある」。代わりに、戦局を冷静に見詰めてもいた。
客観的な視点から、敵の狙いや苦手な部分を察知。打つべきコースを細かく指示することもあった。早田ひな(日本生命)は「美誠の要求は本当にきつい」と苦笑いしつつ、「お互いに中国選手に勝った経験があるからこそ、そうだよねって言える」。張本美は「普段の自分では考えられないことをアドバイスしてもらって心強かった」と感謝している。
代表入りを逃したパリ五輪では、補欠としてチームに同行することを求める声も届いた。伊藤自身も2016年リオデジャネイロ五輪では平野美宇(木下グループ)に、21年の東京五輪では早田に助けられた経験があり、その役割の重要性は身に染みて分かっている。
補欠は裏方としてのサポートが主な役割。ベンチには入れず、試合中にアドバイスをすることはできない。平野と早田のその後の成長も考えれば、「リザーブは将来を背負っていく選手が経験すべきなんじゃないかなと思っている」。今度は、代表メンバーの活躍を陰ながら見守るつもりだ。
[時事通信社]
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