党立て直しの道筋険しく=共産、23年ぶりトップ交代―田村新委員長
共産党は18日の党大会で、23年ぶりの党首交代に踏み切った。委員長ポストを志位和夫氏から引き継ぐ田村智子氏には、組織刷新の「旗振り役」の期待が掛かる。ただ、退潮ぶりが顕著な党の立て直しは容易ではない。
「集団的指導部の中で、私自身が持てる力を発揮したい」。田村氏は党大会終了後の記者会見でこう強調。志位氏も「あらゆる面で最も適任だ」と太鼓判を押した。
志位氏は2000年の委員長就任後、天皇制や自衛隊を当面容認するなど「現実・柔軟路線」を推進。国政選挙での「野党共闘」路線も主導し、党内で一定の評価を得ていた。
一方、志位氏が党勢衰退に歯止めをかけられなかったとする声も多い。高齢化などの影響で党員は最盛期の約50万人(90年)から25万人に半減。党財政の基盤を担う機関紙「しんぶん赤旗」の購読者数も355万人(80年)から85万人に落ち込んだ。
昨年には、党首公選制の導入など党改革を求める著書を出版したベテラン党員を、党内に派閥・分派を作らないとする「民主集中制」に反するとして除名。世論から「強権体質」との批判を浴びた。
党内でも、志位氏の長期体制に対する不満から、世代交代を求める声が徐々に拡大。志位氏を取り巻く環境は厳しくなっていた。
田村氏は、今年で結党102年を迎える同党初の女性党首となる。18日の会見では「歴史と伝統を受け継ぐ」と強調。志位氏の路線を踏襲する考えを示した。
ただ、次期衆院選に向けた野党共闘の再構築は難航している。他の野党に「共産アレルギー」が色濃く残る中、田村氏の手腕が早速問われることになる。
議長に就いた志位氏が「院政を敷くのではないか」(党関係者)との見方も根強い。田村氏との役割分担が不明確な上、今後も党運営に関与することになるためだ。党幹部は「われわれは組織政党だ。代表が交代しても大きく変わることはない」と語った。
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