日銀、マイナス金利解除を模索=年明け以降、重要局面―春闘で賃上げ見極め
日銀がマイナス金利政策の解除を模索し始めた。日銀は来年の春闘の賃上げ状況を見極める構えで、2%の物価目標の持続的実現に確信を持てるかが焦点となる。来年利上げに踏み切れば、2007年以来17年ぶり。異例の大規模金融緩和に終止符を打ち、正常化にかじを切るのか。日銀は年明け以降、重要局面を迎える。
「2%の物価目標実現の確度が少しずつ高まってきている」。植田和男日銀総裁は11月の講演で、政策変更の条件である物価目標達成の手応えに言及した。
消費者物価上昇率(生鮮食品を除く)は1年以上にわたり日銀が目標とする2%を上回って推移。企業の間で、コスト上昇分を価格転嫁する動きが広がり、デフレ期のように物価が上がらないことを前提とした慣行に変化が生じている。
ただ、食料品を中心とした物価高が進み、個人消費には陰りも見られる。消費が腰折れしないためにも来年の春闘での賃上げが大きなカギを握る。
連合は1日、来年の春闘での賃上げの要求水準を「5%以上」とすることを正式に決定した。日銀内でも「来年はある程度の賃上げは期待できる」(幹部)と見込み、植田総裁は早期のマイナス金利解除の可能性も排除しない考えを表明している。
ただ、大幅な賃上げを表明しているのは大企業が中心で、中小企業まで波及するかは未知数だ。日銀の安達誠司審議委員は11月29日の記者会見で、中小企業を含めた全体の賃上げ状況の見極めは「年度明け以降になる」と指摘。緩和の正常化は来年4月以降との慎重な見解を示した。
日銀は7月に長期金利の上限を0.5%から事実上1%に引き上げ、10月には1%超の上昇も容認。マイナス金利政策を解除すれば、住宅ローンや設備資金の借入金利が上昇するなど家計や企業への影響も強まる。年明け以降、日銀は賃上げ動向を見極めながら難しい判断を迫られる。
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