来年度予算、議論加速=歳出「平時」回帰が焦点―政府・与党
2023年度補正予算が29日成立し、政府・与党は今後、24年度予算編成作業を加速させる。デフレ完全脱却を実現するために物価高対策や賃上げ促進に重点配分するほか、少子化対策の財源確保も課題。岸田政権はコロナ禍で膨らんだ歳出構造を「平時」に戻す方針を掲げており、財政健全化と経済再生を両立させられるかが焦点だ。
来年度一般会計予算の概算要求総額は過去最大の114兆3852億円に上り、今年度当初予算額114兆3812億円に並ぶ。医療・介護などの社会保障費、借金に当たる国債の利払い費、厳しい安全保障環境に対応するための防衛費は、今年度より膨らむのが確実な情勢だ。
岸田政権が支持率回復を狙って打ち出した物価高対策は協議の行方が見通せない。今月初めに決定した総合経済対策に定額減税と低所得者向け給付を盛り込んだが、減税の詳細な制度設計は与党の税制調査会に委ねた。原油高対策を巡っては、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除を含めて自民、公明、国民民主の3党が今後協議するものの、財源確保などの課題が待ち受ける。
来年度予算では金利の上昇を反映し、国債の利払い費を算出する際に使う想定金利が17年ぶりに引き上げられる方向。これにより、利払い費が増加し、先進国で最悪の水準にある財政がさらに圧迫されるのは必至だ。
一方、歳出改革のカギを握るのは診療、介護、障害福祉サービス報酬の「トリプル改定」。公定価格である各報酬の上げ下げは、少子化対策の財源問題も左右する。膨張が著しい社会保障費にどこまで切り込めるか、財政再建に向けた政権の本気度が問われる。
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