トリガー解除、財源1.5兆円=灯油・重油への対応課題
ガソリン税を一時的に下げる「トリガー条項」の凍結解除を巡り、自民、公明、国民民主3党が近く協議を開始する。燃料油価格の急騰抑制を目的とする政府の補助金事業が来年4月末に終了する予定をにらみ、来春以降のガソリン代の負担軽減策として検討する。実現には約1.5兆円の財源確保、灯油や重油の価格対策などが課題となる。
トリガー条項は、ガソリンの全国平均小売価格が1リットル当たり160円を3カ月連続で超えた場合、1リットル当たり53円80銭となっているガソリン税のうち、上乗せされている25円10銭分の課税を停止し、本来の28円70銭に自動的に下げる制度。2010年の創設以降、発動されたことはなく、東日本大震災の復興財源を確保するため凍結が続いている。
凍結解除について、鈴木俊一財務相は24日の記者会見で「国と地方の合計で1.5兆円もの巨額の財源が必要となるなど、さまざまな課題がある」と指摘した。今月20日時点のガソリン価格は、補助金がなければ199円90銭だったと経済産業省は試算。価格抑制効果は大きいが、ガソリン補助金の予算総額は22年1月の開始以降、6兆円超に膨らんでいる。原油価格の高止まりや円安が続く中、発動が長期化すれば財政を一段と圧迫する。
トリガー条項が発動される場合、発動直前にはガソリンの買い控えが、終了前には駆け込み需要が発生し、給油所店頭の混乱も予想される。発動によるガソリン減税だけでは、補助金事業の対象となっている灯油、重油などには恩恵が及ばなくなるため、対策が別途必要になる可能性もある。
3党は昨年春、こうした課題への対応が難しいとしてトリガー条項の凍結解除を見送り、補助金の拡充で合意した。現在の価格高騰下では発動の仕組みの見直しも課題になるとみられ、議論には曲折がありそうだ。
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