2025-03-04 07:13
トランス選手排除、五輪に影響は=米大統領令に揺れるスポーツ界

トランスジェンダー選手の女子競技参加を禁じる大統領令に署名したトランプ米大統領(中央)=2月5日、ワシントン(EPA時事)
トランプ米大統領が2月上旬、出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダー選手の女子スポーツ参加を禁止する大統領令に署名した。2028年ロサンゼルス五輪への影響が懸念される動きに、波紋が広がっている。
日本オリンピック委員会(JOC)理事で、スポーツにおけるジェンダー問題に詳しい中京大の來田享子教授は、「驚きとしか言いようがない」と憤りを込めて語る。国際的な人権基準に反する上、スポーツへの政治介入の問題も指摘。「大統領令という権限を使い、スポーツの場に土足で踏み込んでくる。スポーツの独立性、本質を攻撃するものだ」と批判した。
性的少数者の社会的な認知が進み、來田教授は既存の男子、女子の競技区分は「変えるべき時代になった」と考える。課題は残るものの、例えば男女のどちらにも分類しない「オープンの部」を設ける方法は「過渡期としては選択肢になる」。トランスジェンダー選手参加に反発する女子選手がいることにも理解を示し、「女性の権利も主張していい。ただ、誰かが誰かの価値や尊厳を傷つけることはあってはならない」と訴えた。
性的少数者に関する情報発信などを行うプライドハウス東京の元共同代表で、スポーツを通じたジェンダー平等の活動に取り組む野口亜弥さんは、既存の枠組みを維持しようとするトランプ氏の決定に警鐘を鳴らす。「実在するマイノリティーの人々をいない人として扱い、排除されてきた人々を排除し続ける。大前提として、トランスジェンダー女性も女性選手であり、(出生時の性別と性自認が一致している)シスジェンダー女性も女性選手」。來田教授と同様、既存の男女区分には限界があるとし、「女性も男性も実は多様で、男女の枠組みで分けられない性自認の人もいる。どんな仕組みが多様性を包摂できるのかを考える必要がある」と述べた。
国際オリンピック委員会(IOC)はトランスジェンダー選手の参加について、各競技団体の判断に委ねるとしている。トランプ氏はロス五輪で同様の対応を求める意向。來田教授は「米国資本に頼るIOCが、お金と人権をてんびんにかけ、何を選択すべきかの意思を明確にする必要がある」と語った。
日本オリンピック委員会(JOC)理事で、スポーツにおけるジェンダー問題に詳しい中京大の來田享子教授は、「驚きとしか言いようがない」と憤りを込めて語る。国際的な人権基準に反する上、スポーツへの政治介入の問題も指摘。「大統領令という権限を使い、スポーツの場に土足で踏み込んでくる。スポーツの独立性、本質を攻撃するものだ」と批判した。
性的少数者の社会的な認知が進み、來田教授は既存の男子、女子の競技区分は「変えるべき時代になった」と考える。課題は残るものの、例えば男女のどちらにも分類しない「オープンの部」を設ける方法は「過渡期としては選択肢になる」。トランスジェンダー選手参加に反発する女子選手がいることにも理解を示し、「女性の権利も主張していい。ただ、誰かが誰かの価値や尊厳を傷つけることはあってはならない」と訴えた。
性的少数者に関する情報発信などを行うプライドハウス東京の元共同代表で、スポーツを通じたジェンダー平等の活動に取り組む野口亜弥さんは、既存の枠組みを維持しようとするトランプ氏の決定に警鐘を鳴らす。「実在するマイノリティーの人々をいない人として扱い、排除されてきた人々を排除し続ける。大前提として、トランスジェンダー女性も女性選手であり、(出生時の性別と性自認が一致している)シスジェンダー女性も女性選手」。來田教授と同様、既存の男女区分には限界があるとし、「女性も男性も実は多様で、男女の枠組みで分けられない性自認の人もいる。どんな仕組みが多様性を包摂できるのかを考える必要がある」と述べた。
国際オリンピック委員会(IOC)はトランスジェンダー選手の参加について、各競技団体の判断に委ねるとしている。トランプ氏はロス五輪で同様の対応を求める意向。來田教授は「米国資本に頼るIOCが、お金と人権をてんびんにかけ、何を選択すべきかの意思を明確にする必要がある」と語った。