2025-02-24 19:03

平和の祭典にも影響=政治と切り離せないスポーツ―ウクライナ侵攻

競泳の男子50メートル自由形(運動機能障害S7)の表彰式。金メダルのウクライナの選手(中央右)は銀のコロンビア選手(同左)と肩を組んで撮影に応じたが、中立の個人資格で出場した銅のロシア選手(右)と距離を取った=2024年9月、パリ
競泳の男子50メートル自由形(運動機能障害S7)の表彰式。金メダルのウクライナの選手(中央右)は銀のコロンビア選手(同左)と肩を組んで撮影に応じたが、中立の個人資格で出場した銅のロシア選手(右)と距離を取った=2024年9月、パリ
 【パリ時事】2026年ミラノ・コルティナ五輪、パラリンピックの開幕まで約1年となった。22年北京冬季五輪の閉幕直後に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、平和の祭典にも影響を及ぼしている。
 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、スポーツと政治を切り離すよう主張してきた。昨夏のパリ五輪・パラリンピックで、ロシアと同盟国ベラルーシの選手は国を代表しない「中立の個人資格選手(AIN)」として参加が認められたものの、理想と現実は違った。
 パラリンピックでこんな場面があった。競泳男子で、ベラルーシ選手と表彰台に立ったウクライナ選手2人は3人での写真撮影を拒否。退場の際は距離を取って歩いた。
 ウクライナの選手たちは練習中にロシア軍の攻撃があり、中断して避難することもあった。国外に拠点を移した選手もいた。陸上の女子走り高跳びで、五輪金メダリストとなったヤロスラワ・マフチフは「戦争で500人近い選手とコーチが亡くなった。このメダルをささげたい」と語った。
 26年冬季大会も昨夏同様にロシア勢は個人資格での出場となる可能性が高い。国際スケート連盟(ISU)は昨年12月にロシア勢の五輪予選への出場を認めた。今年2月、イタリア・ミラノで開催されたフィギュアスケート国際大会に出場したウクライナの男子選手は「自国の旗の下で競技をしなくても国を代表している。参加すべきではない」と訴える。仮に戦争が終結したとしても、深い遺恨が残る。五輪とパラリンピックが真の平和の祭典になることは、難しいだろう。