特集


香港デモ

中国民主化運動、台湾に活路=拠点香港の役割低下―天安門事件30年

2019-05-29 16:07

【台北、香港時事】1989年6月4日の中国で、民主化運動が武力弾圧された天安門事件から30年の節目を控える5月、元学生リーダーら民主活動家は一連の記念行事を台湾で開催した。従来は香港で行うことが多かったが、海外に散らばる王丹氏ら主力メンバーが香港に入れる見込みがなかったため、台湾に活路を見いだした格好だ。
香港は天安門事件以降、一貫して民主化運動の拠点だった。しかし中国共産党が影響力を一段と増す中、「一国二制度」の形骸化とともにその役割は低下している。来年以降の記念行事も台湾を拠点に行われるとみられる。
元学生リーダーらが組織する民間団体「華人民主書院」と、民主派団体の「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)は5月18〜20日、台北で天安門事件を記念するシンポジウムを共催。世界各地から元学生リーダーや学者を集め、中国の民主化や事件の再評価をテーマに討論した。
王氏ら華人民主書院のメンバーは23日、蔡英文総統と総統府で面会した。蔡氏はこの中で「台湾で記念行事を開催してくれたことで、台湾人に自由民主の大切さを教えてくれた」などと謝意を表明。中国の習近平国家主席が今年1月に打ち出した一国二制度による中台統一方針にも触れ、「自由民主や人権を享受している国としては受け入れられない」と、中国を改めてけん制した。
香港では近年、反中的行動を理由とした入境拒否が相次いでいる。王氏以外に、元学生リーダーのウアルカイシ氏が過去にビザ発給を拒否されたほか、昨年は香港独立を主張する政治団体への活動禁止命令が出されるなど、目に見える形で締め付けが強まっている。
台湾での活動を終え、6月1日に明治大で開かれるシンポに出席するため東京入りした王丹氏は、「台湾でも共産党の影響力が大きくなり、来年の総統選で(親中的な)国民党政権が誕生すれば、台湾でも開催できなくなる可能性がある」と語る。その場合は東京での開催を視野に入れる。
支連会主席の何俊仁氏は「習政権になり、人権と言論の自由をめぐる状況は悪化する一方だ。中国政府の香港に対する圧力は年々高まっている」と指摘。シンポを台湾で開催した理由について「別名でパスポートを所持しているなど例外的な状況以外で、今の香港に活動家を招くのは難しい。台湾なら友好的に受け入れてもらえる上、手厚いサポートが期待できる」と説明した。
香港では、容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例」改正が立法会(議会)で審議されている。仮に改正されれば、民主活動家を取り巻く環境は一段と厳しさを増す見通しだ。
[時事通信社]

その他 特集記事