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政府、「イラン関与」説と距離=タンカー攻撃への態度曖昧

2019-06-17 19:55

中東ホルムズ海峡近くで日本の海運会社が運航するタンカーが攻撃されたことに関し、政府は米国が主張する「イラン関与」説と距離を置き、曖昧な態度を取り続けている。「証拠が不十分」(政府関係者)な状況の中、安易に追随すれば伝統的なイランとの友好関係を損ねる恐れがあるからだ。28、29両日に大阪で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議の議題として取り上げることにも及び腰だ。
「現時点で予断を持って答えることは控えたい」。菅義偉官房長官は17日午後の記者会見で、タンカー攻撃についての見解を問われるとこう述べ、旗幟(きし)鮮明にすることを避けた。
米国とイランの主張が食い違う中、国際社会の反応は一様ではない。イランとの独自のパイプは「日本の外交資産」なだけに、外務省幹部は「推定で物事は言えない。米国が新たな証拠を出すのは当然だ」と米側に情報開示を求めた。
安倍晋三首相のイラン訪問中というタイミングや、水面より上の船体を爆破する手口の不自然さから、自民党内には「米国の自作自演のようにも感じる」(閣僚経験者)との疑念すら出ている。ある政府関係者は、米国が大量破壊兵器に関する誤った分析に基づき開戦に踏み切ったイラク戦争に言及しつつ、「米国の言い分にむやみに『そうです』とは言えない」と語った。
政府内には、グテレス国連事務総長が提唱した第三者による調査の動きを見守ろうとする向きもある。全容解明に時間がかかるのは必至で、政府の不明瞭な対応が続きそうだ。
タンカー攻撃は、G20首脳会議で「エネルギー安全保障の観点から議論する可能性がわずかにある」(外務省幹部)程度。ただでさえ米中貿易戦争という難題がある上に、対立を深める議題を加えれば、議長国として討議をまとめる首相の手腕に疑問符が付きかねない。首相のイラン訪問について、政府内からも「結果としてタイミングは悪かった」(関係者)との声が漏れ始めた。
[時事通信社]

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