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英首相に批判集中=EU離脱、再延期要請

2019-04-06 16:40

【ロンドン時事】メイ英首相が5日、欧州連合(EU)離脱期限の再延期をEUに要請したことを受け、首相率いる与党・保守党内からは「間違いだ。早く離脱するべきだ」と一斉に反発の声が上がっている。離脱先送りは「党の存亡に関わる脅威」(英紙)という危機感が背景にあり、首相に批判が集中する形となった。
「首相は保守党議員の言うことを聞かない」。EUからの独立を重視する強硬離脱派のフランソワ下院議員は、5日のBBCテレビで強調した。党内では「メイ降ろし」の動きが再燃していると明かし、離脱の再延期や野党との協力模索は「国の将来にとって危険だ」と怒りをあらわにした。
強硬派を束ねるリースモグ議員も、再延期は「(離脱を決めた)2016年の(国民)投票の結果を覆そうとする(企てだ)」と非難した。
メイ首相は離脱の混迷に終止符を打つため、対立関係にある最大野党・労働党に助けを求める賭けに出た。二大政党制の英国で与党が野党にすり寄るのは異例。「全ての当事者の妥協が必要だ」と呼び掛けたのは良かったが、3日目の緊急対話を終えた5日までに、自ら進んで譲歩する姿勢は示さなかったという。理解に苦しむ首相の言動に、労働党幹部は「失望した」と切り捨てた。
EU各国はメイ首相に対し、離脱の再延期は事態打開に向けた具体策の提示が条件になると念押ししてきた。ところが、ふたを開けると、首相は手ぶらで再延期を要請。英国に友好的なオランダのルッテ首相さえ「疑問が多い」と首をかしげる。
「メイ首相がまた、全員を(一度に)怒らせるという並外れた能力を発揮した」。英紙デーリー・テレグラフの記者は、保守党議員だけでなく、労働党やEU各国も首相に当惑している事態を皮肉った。
一方、保守党の強硬派らに近いファラージ英独立党(UKIP)元党首は、英国がEU加盟国として5月下旬の欧州議会選挙に参加する事態を想定。新党「ブレグジット(英EU離脱)党」を率いて出馬すると宣言し、「離脱を救うための反撃が始まった」と気勢を上げた。EU離脱の実現に政治生命を懸けてきただけに、実際に選挙となれば、欧州全体を揺るがす台風の目となりそうだ。
EU主要国フランスのマクロン大統領は、欧州議会選で親EU派の大量当選を実現させ、EU統合やユーロ圏改革の強力な後押しにする考え。英国の離脱が先延ばしになることで選挙戦に影響が及び、各地の反EU勢力が躍進するようなことになると、「マクロン氏にとって悪夢」(英メディア)と言える。
[時事通信社]

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