「時間、残されていない」 拉致被害者田口さん家族―飯塚繁雄さん死去2年
北朝鮮に拉致された田口八重子さん=拉致当時(22)=の長兄で、拉致被害者家族会の前代表、飯塚繁雄さんが83歳で死去してから18日で2年を迎えた。「時間は残されていない」。田口さんの3番目の兄、本間勝さん(79)は同日までに取材に応じ、心境を語った。
勝さんが家族会の活動に本格的に加わったのは、小泉純一郎首相(当時)が初めて訪朝した2002年。訪朝後、繁雄さんと2番目の兄進さん、他の被害者家族と共に官邸に招かれた。繁雄さんは07年、家族会の2代目代表に就き、14年間にわたり活動の先頭に立った。晩年は病気と闘いながら、被害者救出に向け心血を注いだ。
「絶対に諦めない」。繁雄さんは最後に出席した集会でそう繰り返し訴え、約1カ月後の21年12月、帰らぬ人となった。「八重子に対する思い、絶対に取り戻すんだという強い意志が表れていた」と勝さん。今年11月中旬、埼玉県上尾市の霊園で三回忌を執り行った。
救出運動に関わる中で忘れられない瞬間がある。大韓航空機爆破事件の実行犯で、田口さんから日本語を教わったとされる、北朝鮮の金賢姫元工作員との面会だ。10年7月の長野県軽井沢町での面会は、「家族にとって、八重子と接点のある人物と会えた一番実のある出来事だった」と振り返る。
この面会以降、拉致問題で目に見える進展はなかった。7人きょうだいのうち3人が亡くなっており、「僕らには時間がない。八重子が拉致されて45年、ただ年数がたつのをじっとこらえているだけだ」と徒労感をにじませる。それでも、出身地の埼玉県川口市で毎年署名活動などを続けている。「命ある限りは諦めないよ」。妹の帰りを信じて待っている。(2023/12/18-07:05)
Time Running Out for Return from N. Korea: Abductee's Brother
Time is running out to realize the return of Yaeko Taguchi, a Japanese national abducted by North Korea, her brother Masaru Honma said before Monday's second anniversary of the death of their eldest brother Shigeo Iizuka.
Honma, 79, is the third brother of Taguchi, who disappeared in 1978 at age 22.
He became actively involved in a group of abductee families in 2002, when then Prime Minister Junichiro Koizumi visited North Korea for the first time as his country's prime minister. Following the trip, Koizumi invited Honma, Iizuka and another brother Susumu to the prime minister's office along with other abductee families.
Shigeo became the second head of the abductee families group in 2007, leading efforts for 14 years. In his later years, he fought illness while devoting himself to work to rescue abduction victims.
He said in his last meeting of the group that he would never give up, roughly a month before he died at 83.
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