ｉＰＳで子宮頸がん治療　免疫細胞投与、来夏にも治験―順天堂大など

　順天堂大などは１３日、人工多能性幹細胞（ｉＰＳ細胞）から作製した免疫細胞で子宮頸（けい）がんを縮小させることに成功したと発表した。ゲノム編集技術によって拒絶反応を起こしにくくしており、来年夏にも治験を始める方針という。研究成果は、米学術雑誌のオンライン版に掲載された。
　子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス（ＨＰＶ）への感染で発症する。日本では年約３０００人が亡くなり、特に子育て世代の女性で多いことから「マザーキラー」と呼ばれる。再発すると進行が速い上、既存薬が効きにくいとされる。
　同大などは、健康な人の血液から、ＨＰＶに感染したがん細胞を攻撃する免疫細胞の「キラーＴ細胞」を取り出してｉＰＳ細胞を作製。ゲノム編集技術で遺伝子を改変し、患者の体内で拒絶反応を起こしにくくした上で、このｉＰＳ細胞から再びキラーＴ細胞を作った。
　このキラーＴ細胞をマウスに投与した結果、拒絶反応を抑えることができたほか、がん細胞への攻撃能力が増えてがんを縮小させることに成功した。同大などがこのキラーＴ細胞内の遺伝子の働きを詳細に調べたところ、攻撃能力が強まったメカニズムも解明できた。
　順天堂大は来年夏にも再発患者９人に投与し、安全性を確認する治験を行う方針。同大の安藤美樹主任教授（血液内科学）は「子宮頸がんは若い女性に多いが、治りにくい上に進行も速い。今までにない手法を使い、患者が少しでも希望を持てる治療を目指したい」と話している。（2023/12/13-07:05）

A team of Japanese and other researchers have said they succeeded in reducing cervical cancer size in mice by administering gene-edited immune cells produced from induced pluripotent stem, or iPS, cells.
   The team of scientists mainly from Juntendo University used genome-editing technology to curb rejection reactions. It plans to start clinical trials of the potential treatment as early as next summer.
   The research results were published in the online edition of the U.S. journal Cell Reports Medicine.
   Cervical cancer is caused by infection with human papillomavirus, or HPV.
   About 3,000 people die of the cancer annually in Japan, especially women in the child-rearing generation. If it recurs, it often progresses quickly. Existing drugs are not very effective.