2021.10.05 12:29World eye
ジョブズ氏の死から10年、アップルは利益のために魔力を手放したのか?
【サンフランシスコAFP=時事】米アップルの創業者、スティーブ・ジョブズ氏の死から10年。同社はデバイスやサービスを提供する世界で最も市場価値がある巨大企業に成長した。だが、IT界の伝説となったジョブズ氏の熱烈なファンは、アップルは革命的なオーラを失ったと嘆いている。(写真は米カリフォルニア州にあるアップルパークで行われたイベントで故スティーブ・ジョブズ氏の肖像を背に話すアップルのティム・クックCEO)
ジョブズ氏の後任として2011年8月に就任したティム・クック最高経営責任者(CEO)が製品発表会を行う際には特に、ツイッターで「アップルにはもう革新性がない」、「スティーブ・ジョブズは墓の中で嘆いている」など幻滅を語る類いの投稿が目立つ。
膵臓(すいぞう)がんとの闘いの末、2011年10月5日に亡くなったジョブズ氏は、表面的にはアップルのDNAに妥協しない厳しさをしっかりと刻んだ。
クック氏は発表会のたび、スマートフォンやタブレットのカメラやチップのわずかな変更点でも、かつてのジョブズ氏のような大げさな言い回しで披露する。
だが、これらは果たしてポスト・ジョブズ時代のゲームチェンジャーと言えるイノベーションなのだろうか?
「アップルは市場に革命を起こすような製品を生み出す能力を失ってしまいました」と言うのは、米ハイテク関連調査会社エンダール・グループのアナリスト、ロブ・エンダール氏だ。「アップルは忠実なユーザーからお金を巻き上げることにたけている、財務実績にフォーカスした企業になってしまいました」と批判する。
1976年にジョブズ氏の自宅のガレージで創業して以来、アップルはさまざまな製品を生み出し、何億人もの生活に影響を与えてきた。2001年に発売された「iPod」や、インターネットを身近なものにした2007年の「iPhone」などがその代表だ。
アナリストのキャロライナ・ミラネージ氏は、「アップルに求められる評価基準は常に革新であり、ユーザーが注目しているのもその点です。(中略)企業が成功するためのもう一つの側面は、自らを変革する力でしょう」と指摘する。
アップルは音楽、決済、動画、ゲームといったサービスをデバイスに巧みに組み込むことで、間違いなく多様化を遂げてきた。
そのためにアップルはハードウエアビジネス以外の世界を学ばなければならなかった。「人々をアップルに引き寄せ、とどめるためのよりたくさんのロープ」が必要だったとミラネージ氏は表現する。
こうした方向性は、おそらくジョブズ氏も否定はしなかっただろう。ウォルター・アイザックソン氏が手掛けた伝記によれば、ジョブズ氏は顧客体験を常に最初から最後までコントロールしようとした。
10年前に約3500億ドル(約39兆円)だったアップルの時価総額は現在、2兆3580億ドル(約262兆円)に達している。
アナリストのダン・アイブス氏は「(アップルの時価総額は)今後6~9か月で3兆ドル(約333兆円)に達するとわれわれは予測しています」と言う。
同氏はアップルが創造をやめたことはないと考えている。例えば、一部の新しいデバイスでインテルに代わって搭載されているM1チップの開発だ。
アイブス氏は、今後も数年はiPhoneがアップルの成長ストーリーの「心臓と肺」であり続けるとしながらも、2024年までに仮想現実(VR)ヘッドセット、さらには「アップルカー」が登場するとみている。
「アップルは時代とともに進化し、クック氏もそうだと思います。ジョブズ氏は何よりも、有機的にイノベーションを起こすことが大切だと考えていたのではないでしょうか」
過去と比較し批判を口にする人々も、クック氏とそのチームが近年の荒波を乗り切ってきたことを否定するのは難しい。
独占禁止法違反を疑う欧米規制当局への対応、セキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性に絡むソフトウエアの緊急修正といったデリケートな問題への対処は、気性の激しいジョブズ氏では適さなかったという見方もある。
ミラネージ氏は「この10年はジョブズ氏のスタイルでは生き残れなかったと思います」と言う。「クック氏の方が現在の市場環境や社会状況に適したリーダーだと思います」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/10/05-12:29)
ジョブズ氏の後任として2011年8月に就任したティム・クック最高経営責任者(CEO)が製品発表会を行う際には特に、ツイッターで「アップルにはもう革新性がない」、「スティーブ・ジョブズは墓の中で嘆いている」など幻滅を語る類いの投稿が目立つ。
膵臓(すいぞう)がんとの闘いの末、2011年10月5日に亡くなったジョブズ氏は、表面的にはアップルのDNAに妥協しない厳しさをしっかりと刻んだ。
クック氏は発表会のたび、スマートフォンやタブレットのカメラやチップのわずかな変更点でも、かつてのジョブズ氏のような大げさな言い回しで披露する。
だが、これらは果たしてポスト・ジョブズ時代のゲームチェンジャーと言えるイノベーションなのだろうか?
「アップルは市場に革命を起こすような製品を生み出す能力を失ってしまいました」と言うのは、米ハイテク関連調査会社エンダール・グループのアナリスト、ロブ・エンダール氏だ。「アップルは忠実なユーザーからお金を巻き上げることにたけている、財務実績にフォーカスした企業になってしまいました」と批判する。
1976年にジョブズ氏の自宅のガレージで創業して以来、アップルはさまざまな製品を生み出し、何億人もの生活に影響を与えてきた。2001年に発売された「iPod」や、インターネットを身近なものにした2007年の「iPhone」などがその代表だ。
アナリストのキャロライナ・ミラネージ氏は、「アップルに求められる評価基準は常に革新であり、ユーザーが注目しているのもその点です。(中略)企業が成功するためのもう一つの側面は、自らを変革する力でしょう」と指摘する。
アップルは音楽、決済、動画、ゲームといったサービスをデバイスに巧みに組み込むことで、間違いなく多様化を遂げてきた。
そのためにアップルはハードウエアビジネス以外の世界を学ばなければならなかった。「人々をアップルに引き寄せ、とどめるためのよりたくさんのロープ」が必要だったとミラネージ氏は表現する。
こうした方向性は、おそらくジョブズ氏も否定はしなかっただろう。ウォルター・アイザックソン氏が手掛けた伝記によれば、ジョブズ氏は顧客体験を常に最初から最後までコントロールしようとした。
10年前に約3500億ドル(約39兆円)だったアップルの時価総額は現在、2兆3580億ドル(約262兆円)に達している。
アナリストのダン・アイブス氏は「(アップルの時価総額は)今後6~9か月で3兆ドル(約333兆円)に達するとわれわれは予測しています」と言う。
同氏はアップルが創造をやめたことはないと考えている。例えば、一部の新しいデバイスでインテルに代わって搭載されているM1チップの開発だ。
アイブス氏は、今後も数年はiPhoneがアップルの成長ストーリーの「心臓と肺」であり続けるとしながらも、2024年までに仮想現実(VR)ヘッドセット、さらには「アップルカー」が登場するとみている。
「アップルは時代とともに進化し、クック氏もそうだと思います。ジョブズ氏は何よりも、有機的にイノベーションを起こすことが大切だと考えていたのではないでしょうか」
過去と比較し批判を口にする人々も、クック氏とそのチームが近年の荒波を乗り切ってきたことを否定するのは難しい。
独占禁止法違反を疑う欧米規制当局への対応、セキュリティーの脆弱(ぜいじゃく)性に絡むソフトウエアの緊急修正といったデリケートな問題への対処は、気性の激しいジョブズ氏では適さなかったという見方もある。
ミラネージ氏は「この10年はジョブズ氏のスタイルでは生き残れなかったと思います」と言う。「クック氏の方が現在の市場環境や社会状況に適したリーダーだと思います」【翻訳編集AFPBBNews】
〔AFP=時事〕(2021/10/05-12:29)
2021.10.05 12:29World eye
Decade after Jobs' death, has Apple traded magic for profit?
Ten years after Apple founder Steve Jobs' death, the firm has grown into a colossus of devices and services that is the world's most valuable company, but the tech legend's diehard fans lament its lost aura of revolution.
Apple doesn't innovate anymore or Steve Jobs is turning in his grave are the type of disillusioned tweets that pop up especially during product launches led by Tim Cook, who took Apple's reins in August 2011.
On the surface, Jobs -- who died October 5, 2011 after a battle with pancreatic cancer -- left the company DNA imbued with his demanding intensity.
At every launch, Cook delivers the same hyperbolic turns of phrase that Jobs once did to unveil even incremental changes to the cameras or chips in its range of phones, tablets and other devices.
But are these game-changing innovations in the post-Jobs era?
Apple lost the ability to bring out products that could revolutionize a market, said Tech industry analyst Rob Enderle of Enderle Group.
They became a financially-focused company very effective at milking its faithful users, he added.
The company has impacted hundreds of millions of lives since its 1976 founding in a garage, with devices like the iPod launched in 2011 and the 2007 release of the iPhone that put the internet in people's pockets.
Since then, Apple has released an internet-connected time piece, the Apple Watch.
The measure of Apple is always innovation, that's what people focus on... another aspect of a company being successful is its ability to change themselves, noted analyst Carolina Milanesi.
Apple has indeed diversified by adding many services carefully integrated into its devices: music, payments, videos and games.
The company had to learn a world outside of the hardware business, a strategy Milanesi described as more ropes that bring people to Apple... and keep them here.
It's a direction that would probably not have been rejected by Jobs, who always tried to control his customers' experience from start to finish, according to the biography written by Walter Isaacson.
In any case, the company under Cook has delighted Wall Street: the Apple brand was worth about $350 billion ten years ago -- and is worth $2.358 trillion today.
In our opinion (Apple is) going to $3 trillion over the next six to nine months, predicted analyst Dan Ives.
Like many observers of the Californian behemoth, and unlike some fans of Jobs, he believes that Apple has never stopped inventing.
In particular, he cites the development of the M1 chip, which replaces Intel in some new devices.
I think Apple evolved with time and so has Cook, and I think the one thing that Jobs was a huge believer in was innovation organically, said Ives.
He noted the iPhone will continue to be the heart and lungs of Apple's growth story for years to come, but he sees a virtual reality headset and even an Apple car by 2024.
It's hard for the nostalgic detractors alike to deny that Cook and his teams have navigated contrary currents in recent years.
The global chip shortage doesn't seem to have much affected the company's ability to meet demand.
It's political compromises to retain the Chinese market, contrary to its privacy commitments, has been contained to upsetting its critics.
Apple has also been relatively unscathed so far on the anti-trust front compared to fellow giants Google and Facebook, despite being forced to loosen control over its App Store.
But it is in the sights of European and US regulators who view the behemoth's dominance and global reach with extreme suspicion.
There are also thorny issues like the recent emergency software fix to protect against a breach by the potent Pegasus spyware, and Apple's sudden decision to delay an anti-child abuse measure that drew criticism from privacy advocates.
Some observers say Jobs' tempestuous manner would not have suited the management of such delicate matters.
The last ten years, I don't think Jobs' style would have survived, said Milanesi, referring to his famously volcanic persona.
In my view, Cook is a better leader for where we are in the market environment and as a society, she added.
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