戦後80年、沖縄慰霊の日=知事「恒久平和実現に貢献」―犠牲者20万人に祈り

沖縄は23日、太平洋戦争末期に国内最大の地上戦となった沖縄戦から80年の節目となる「慰霊の日」を迎えた。最後の激戦が繰り広げられた沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園では、県主催の沖縄全戦没者追悼式が開かれ、20万人を超える犠牲者の冥福を祈るとともに、平和への誓いを新たにした。
追悼式には、玉城デニー知事や遺族、石破茂首相、衆参両院議長ら約4000人が出席。国連の中満泉軍縮担当上級代表(事務次長)のほか、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中重光代表委員も初めて参列した。
玉城知事は平和宣言で、住民を巻き込んだ沖縄戦の実相と教訓を伝え続けていくことは「今を生きる私たちの使命」と強調。米軍人らによる事件事故や、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題などを挙げ「過重な基地負担が続いている」と訴え、核兵器使用の可能性を示す動きなど世界で複雑さを増す安全保障環境にも言及した。
その上で、国際平和研究機構の創設や、沖縄の戦争遺跡群の保存活用、核軍縮と核兵器廃絶に向けた広島や長崎と連携した国際社会への働き掛けなどに取り組む考えを表明。「戦後80年は一つの通過点」とし、「国際社会と共に恒久平和の実現に貢献する役割を果たしていく」と強調した。
石破首相はあいさつで「全ての戦没者の無念と、残された方々の悲しみを、私たちは決して忘れてはならない」とした上で、沖縄の基地負担軽減について「目に見える形で実現する。それが私自身の強い決意だ」と明言。「戦争の惨禍を二度と繰り返さない」と述べた。
式典では、豊見城市立伊良波小学校6年の城間一歩輝さん(11)が、人の命を奪い苦しめる戦争の話を伝え続けていく決意を込めた平和の詩「おばあちゃんの歌」を朗読した。
式典終了後、報道陣の取材に応じた玉城知事は、政府が南西諸島で進める防衛力強化を念頭に「抑止力の増強だけで平和を維持できるものではない」と指摘。対話による平和外交の重要性を強調した。
1945年6月23日は、沖縄戦の組織的戦闘が終結した日とされ、沖縄県ではこの「慰霊の日」は休日となっている。犠牲者の名を刻む同公園内の「平和の礎(いしじ)」には今年新たに342人が追加され、外国籍も含め軍民計24万2567人となった。



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