トランプ氏、地元の反対無視し強権発動=デモ鎮圧で州兵派遣―米軍「私物化」に懸念
【ワシントン時事】トランプ米大統領がロサンゼルスでのデモ鎮圧のため、カリフォルニア州当局の反対を押し切って州兵動員に乗り出した。異例の強権発動は、政権1期目に自身の支持者が起こした連邦議会襲撃事件で、暴徒を放置したこととの二重基準も指摘される。トランプ氏による軍の「私物化」を懸念する声が上がる。
◇派遣は「私の一存」
「法と秩序の確保のために必要なら、何でも派遣する」。トランプ氏は8日、州兵に加えて海兵隊も動員するか記者団に問われ、こう答えた。国内の治安維持で連邦軍を動員するには「反乱法」を発動する必要があるが、同法は発動しておらず、部隊派遣は「私の一存だ」との見解を示した。
不法移民の摘発強化への抗議を端緒とするデモ拡大について、政権側は治安維持に一義的責任を持つ州当局の「不作為」を主張する。これに対しニューサム州知事は、連邦政府の介入は不要とたびたび強調。トランプ氏が「混乱を望み、さらなる弾圧と恐怖、支配を正当化しようとしている」と非難した。
◇支持者の暴動放置
米メディアによると、軍派遣に州の同意が必要かは専門家の間でも議論がある。米国で軍が治安維持に動員された例は、1992年のロサンゼルス暴動が最後。当時は州兵による鎮圧に失敗した州政府が、ブッシュ(父)大統領に動員を要請した点で、今回とは大きく異なる。
トランプ氏は2021年1月に支持者らが連邦議会を襲撃した際、鎮圧に手をこまねいた。対照的に、20年の人種差別反対運動「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大切)」拡大に当たっては、「制圧」のため反乱法の適用を模索したが、当時のエスパー国防長官らの反対で見送った経緯がある。
◇反移民の世論利用
軍が市民に銃口を向ければ、政府と国民の信頼関係は決定的に崩れる。にもかかわらず今回、州兵派遣を断行した背景には、不法移民急増に対する厳しい世論がありそうだ。CBSテレビが8日公表した世論調査結果では、トランプ政権による不法移民の強制送還に54%が「支持する」と回答し、不支持の46%を上回った。
「ロサンゼルスを移民の侵略から解放する」と宣言するトランプ氏に、支持層は歓喜。共和党議員もこぞって政権の対応を支持した。今回の事案が、米社会の亀裂を一層深刻化させることは必至だ。
トランプ氏は79歳の誕生日を迎える今月14日、ワシントンで大規模な軍事パレードを開催する。米陸軍創設250年の記念日に合わせた行事だが、政権が歳出削減を進める中でのパレードには批判も強い。民主系無所属のサンダース上院議員は8日、トランプ氏が「急速に米国を権威主義に向かわせている」と糾弾した。
[時事通信社]
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