2025-05-28 19:04経済

日銀保有国債、含み損28兆円=金利上昇で過去最大、残高は減少―25年3月期決算

日銀の保有国債含み損益
日銀の保有国債含み損益

 日銀が28日発表した2025年3月期決算によると、保有国債の含み損は3月末時点で28兆6246億円と、前年3月末の9兆4337億円から大きく膨らんだ。日銀の利上げに伴う長期金利上昇で評価損が拡大。過去最大額を大幅に更新した。一方、日銀は昨年8月から国債買い入れの減額も進めており、長期国債の保有残高は前期比1.9%減の574兆2275億円と16年ぶりに縮小した。
 日銀は国債の満期保有を前提とした会計処理を採用しており、含み損は決算には反映されない。日銀の財務健全性に疑念が生じれば金融市場に影響を及ぼす恐れもあるが、含み損が拡大しても「政策運営能力に支障が生じることはない」(植田和男総裁)としている。
 日銀は昨年3月にマイナス金利政策を解除。大規模金融緩和に終止符を打ち、同7月と今年1月に追加利上げも決めた。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは昨年3月末時点の0.7%台前半から今年3月末時点では1.5%程度にまで上昇(債券価格は下落)。保有国債の時価が簿価を大きく下回った。 
 決算では、企業の純利益に相当する当期剰余金は2兆2642億円(前期は2兆2872億円)となった。利上げによって、民間金融機関が日銀に預け入れた当座預金への利払い費が過去最大の1兆2517億円(前期1887億円)に急増したことなどが収益を押し下げた。日銀が利上げを継続すればさらなる財務圧迫要因となる。
 日銀は、剰余金から法定準備金や配当金支払いなどを除いた2兆1510億円を国庫納付する。

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