USスチール買収、政治が翻弄=米製造業への日鉄の貢献、評価か
【ワシントン、ニューヨーク時事】トランプ米大統領が、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を前進させた。USスチールは米国を象徴する企業なだけに反対論も根強い中、大統領選という政治にも翻弄(ほんろう)され、計画は行き詰まっていた。ここにきて、トランプ氏が巨額投資を通じた日鉄の米製造業への貢献を評価した可能性もある。
「長年にわたり『USスチール』の名は偉大さの代名詞だった。再びそうなるだろう」。トランプ氏は23日、SNSで日鉄の投資承認を表明するとともに、「7万人の雇用」と「140億ドル(約2兆円)の経済効果」という成果も強調した。
鉄鋼王として知られるアンドリュー・カーネギーが設立に関わったUSスチール。1960年代には世界最大の鉄鋼メーカーだったが、日欧からの鉄鋼流入が響き、競争力が低下した。経営不振から抜け出せず、2023年夏には身売りも含む戦略的選択肢の検討開始を明らかにした。
同年12月に日鉄による買収が決まったが、24年の米大統領選が大きな障壁となった。激戦州での勝敗を左右する全米鉄鋼労組(USW)の組織票を取り込みたいとの思惑から、民主、共和両党の候補がそろって反対し、政治問題に発展した。
USスチールは今年1~3月期に1億1600万ドルの純損失を計上し、2四半期連続の赤字に陥った。昨年9月には、買収が阻まれれば「数千人の職がリスクにさらされ、地域社会に悪影響を与える」と警告していた。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は計画の前進について「画期的な転換点」と指摘。「米国の鉄鋼業界に新たな風を吹き込む可能性がある」としており、こうした点がトランプ氏の判断に影響したとの見方もある。
トランプ氏は、USスチールが本社を置く東部ペンシルベニア州ピッツバーグで30日に大規模集会を開くと表明。自身の成果をアピールするとみられるが、日鉄の巨額投資でUSスチールが失われた競争力を取り戻せるかは未知数だ。
[時事通信社]
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