組織トップ狙い体制強化=トクリュウ対策に総力―分析、捜査に専従チーム
SNSでつながり、特殊詐欺などさまざまな違法行為に関わる「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の対策として、警察庁は22日、首謀者の摘発に向けた体制強化策を発表した。警察庁に中心人物の情報を集約・分析する部署を設け、全国から捜査員を集めて逮捕に専従する態勢を整えることが柱で、新部署は10月1日に発足する予定。
捜査の中核となる警視庁も併せて大規模な組織改編を実施。警察の総力を挙げ、早期のグループ壊滅を目指す。
警察はこれまで、特殊詐欺を都道府県警が連携して広域捜査する「連合捜査班」の設置などを進めてきたが、秘匿性の高い通信アプリなどが壁となり、逮捕した実行役から中枢に迫る「突き上げ捜査」は難航。まず首謀者を検挙し、上位から組織の全容を解明する新たな捜査の仕組みが課題となっていた。
警察庁が新設する「情報分析室(仮称)」は、全国で浮上した中枢につながる情報を集約・精査し、首謀者や資金管理役、暴力団とつながりがある人物などの「取り締まりターゲット」を選定する。
トクリュウは違法風俗や悪徳商法などさまざまな収益源があるとされ、同室は警視庁が設ける「対策本部」と連携して情報を多角的に分析。適用可能な法令の検討など、検挙に向けた戦略を練るほか、司令塔として総合調整を担う。
トップ逮捕のための戦力も拡充する。各道府県警から専門知識や高い捜査力を持つ警察官を10月と来年4月の2段階に分け、計200人招集。警視庁の対策本部に出向する形で「ターゲット」の逮捕に専従させる。警視庁の担当課の捜査を支援するという。
警視庁は時期を合わせ、対策本部のほか、450人規模の「特別捜査課」を新設するなど、組織を改編し体制を整える。
海外も含め全国各地で活動するトクリュウの特性を踏まえ、警察庁は警察の管轄や規模などが捜査の障害にならないよう、長官が必要な態勢構築を指示する警察法の規定を使うなどして、捜査環境を整える方針だ。
警察庁の楠芳伸長官は22日の定例記者会見で「最重要課題は中核的人物の解明、検挙だ。新体制で全国的、部門横断的な情報の集約分析を強化し、選定したターゲットの取り締まりを強力に推進する」と決意を述べた。
[時事通信社]
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