預金獲得、競争が激化=地銀、収益拡大へカギ

地方銀行の2025年3月期決算は、「金利ある世界」の到来を追い風に増益が相次いだ。利ざやが改善して本業の貸し出し収益が増加した。ただ、その原資となる預金の獲得競争が激化しており、今後も成長軌道を持続できるか楽観できない。全国地方銀行協会の秋野哲也会長(常陽銀行頭取)は「預金の確保は地銀の大きな経営課題だ」と指摘した。
「預金は獲得競争がし烈になり、伸び悩んでいる」。連結純利益が前期比21.8%増加した池田泉州ホールディングスの鵜川淳社長は、今後の収益環境についてこう懸念を示した。純損益が赤字に転落した栃木銀行の仲田裕之頭取は、「インターネット銀行などに資金が流れている」と嘆く。
時事通信の集計で、上場地銀・グループ73社の25年3月期連結純利益の合計は前期比28.5%増の1兆2519億円。8割超に当たる62社が増益を確保し、2社が黒字転換した。一方、日銀によると非上場を含む地銀の実質預金残高は、4月の月中平均が前年同月比1.3%増にとどまった。近年はコロナ禍の前後を除いてプラス2~3%程度で推移してきたが、22年秋ごろから鈍化。貸出金が3~4%の伸びを続けているのとは対照的だ。
預金が伸び悩んでいる背景はさまざま。物価高で預金を取り崩す動きが広がっているほか、少額投資非課税制度(NISA)の拡充で投資信託に資金がシフトした。さらに、ネット銀行や大手銀行がキャンペーン金利で預金集めに力を入れているのに対し、地銀は金利競争に限界がある。宮崎銀行の杉田浩二頭取は「いたずらに金利を上げて費用を増やすわけにもいかない」と打ち明ける。
日本総合研究所の大嶋秀雄主任研究員は今後の地銀経営に関し、預金を確保できない場合、「貸し出しが伸ばせず、縮小しかなくなる。店舗網を維持できない地銀が出てくるかもしれない」と分析する。
地域密着が強みの地銀は実店舗の閉鎖は避けたいところ。大嶋氏は「個人客をつなぎ留める戦略が必要だ」と指摘。「地銀同士で合併し、規模を拡大するのも一つの戦略だ」と話す。
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