終戦の記憶、今も鮮明に=サイゴン陥落時の戦車指揮官―勝利の旗「全て終わった」と安堵・ベトナム
【ハノイ時事】ベトナム戦争の終結を決定付けた1975年4月のサイゴン(現ホーチミン)陥落から30日で50年。北ベトナム軍の戦車は激しい攻撃をくぐり抜け、サイゴンの南ベトナム大統領官邸に突入した。官邸に入った戦車「390号」の指揮官を務めたブー・ダン・トアンさん(78)は勝利の旗が掲げられた時、長年にわたる戦争が「全て終わった」と安堵(あんど)したのを今も鮮明に覚えている。
トアンさんは65年、北ベトナムの人民軍に入隊。当時のベトナムは南北に分断され、米軍が軍事介入を本格化させつつあった。そうした中、戦争を終わらせたいという気持ちがあった。
軍では戦車の操縦士に選ばれた。戦車の内部は狭く、背が高過ぎてはいけない。身長160センチのトアンさんは「まさに操縦士に適していた」という。
75年時点の階級は中尉で、「203戦車旅団」に所属する戦車指揮官として、サイゴン解放作戦への参加を命じられた。作戦ではサイゴン川に架かる橋付近で待ち構える南ベトナム側と激戦を繰り広げた。「弾丸が雨のように降り注いでいた」(トアンさん)が、何とか橋を渡ってサイゴン中心部に進み、大統領官邸の正門前に到着。北ベトナム軍の戦車がもう1両来ていたが、トアンさんが直進を指示した390号が最初に突撃したという。
突入後、トアンさんは戦車を降りて銃を持ち、同僚が旗を掲げるのを手伝った。南ベトナムの政権関係者らが官邸の広間に集められ、当時のズオン・バン・ミン大統領が政権を明け渡そうとする場面も目撃した。
ベトナム戦争について、大きな犠牲を払いながら「平和を渇望して戦い続けた」とトアンさん。「南北が一つになって国民に十分な食事がもたらされ、子供たちが教科書を携えて学校に行くことができるようになった。これこそが大きな幸せだった」と振り返る。その後も軍隊で過ごしたが、終戦の時を「決して忘れることはない」と語った。
[時事通信社]
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