与党に給付・減税ダブル論=米関税「奇貨」、選挙対策否めず
トランプ米政権の関税措置を受けた経済政策を巡り、与党内で現金給付と消費税減税の二兎(にと)を追う動きが強まってきた。追加関税を「奇貨」として大胆な財政政策に踏み切り、有権者に渦巻く政権への不満を和らげようとの狙いが透ける。参院選などを意識した「バラマキ」の側面は否めず、かえって批判を招くと懸念する声もある。
「物価高に加え米国の関税措置の影響が広がる中、最も効果的なのは減税だ。(減税までの)つなぎの現金還付は理解できる」。公明党の斉藤鉄夫代表は10日の党会合でこう述べ、給付と減税の双方を追求すべきだとの考えを示した。
斉藤氏が挙げた「米関税の影響」は後付けの理屈だ。関係者によると、公明は昨年の衆院選大敗を受け、今年1月には消費税減税の議論に水面下で着手していた。「政治とカネ」を巡る逆風がやまない中、6月の東京都議選や夏の参院選に向けて「何か打ち出さなければ」(ベテラン)との焦りがある。
自民が給付を軸にした経済対策の検討に入ると、公明では呼応するように国民一律10万円支給案も浮上した。
焦燥感を募らせるのは自民も同様だ。特に参院側の危機感は強く、松山政司参院幹事長は消費税減税を選択肢に含めるよう主張している。参院自民幹部は消費税減税の実現に向け、独自に公明と連携していると明かした上で、「参院選へのインパクトが大事だ」と強調した。
トランプ大統領は相互関税第2弾について90日間の停止を表明。10日の日経平均株価の終値は過去2番目の上げ幅となるなど、一連の関税措置が実体経済や国民生活に与える影響はなお不透明だ。
それでも自民が10日に党本部で開いた総合対策本部会合では、出席した参院議員から「90日たてば参院選直前だ。対策しておくべきだ」と選挙を見据えた備えを求める意見が上がった。
少数与党が補正予算や税法を成立させるには、野党との「部分連合」が不可欠だ。野党内にも給付や減税を求める声は広がっており、国民民主党の玉木雄一郎代表は10日、記者団に「(公明と)連携していきたい」と語った。
一方、与党内からは「選挙目当てのバラマキだと見透かされてしまう」(公明中堅)と悪影響を懸念する声も出ている。自民執行部が給付案の検討に乗り出した背景には減税論を封じる狙いもあっただけに、「給付も減税も」との声が出始めたことを受け、自民幹部は「まさに選挙病だ」と頭を抱えた。
[時事通信社]
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