1年半ぶり学校再開=戦闘再燃の恐れ、兵役に意欲も―イスラエル北部
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが昨年11月に停戦入りしてから3カ月余り。ロケット弾やドローンで越境攻撃を受けたイスラエル北部には平穏が戻り、約1年半ぶりに学校が再開された。生徒らが再会を喜び合ったが、戦闘再燃の恐れは残されたままだ。専門家は長期間の避難生活に伴うトラウマを懸念している。
北部シロミでは9日、市内の学校が一斉に再開された。対レバノン国境から約1キロに位置する「ORT高校」には、全生徒約450人の9割が登校。避難先から保護者の車で直接到着した生徒もおり、校門付近で抱き合い、友人や教員と笑顔で交流する姿が見られた。
2023年10月の交戦開始直後、人口約9000人のシロミには数日間で約900発のロケット弾が撃ち込まれた。一帯には避難指示が出され、生徒は各地に散り散りになった。
3カ所の学校を転々としたシロミ生まれのシャハフ・デビドビッチさん(18)は「自分の居場所が見つけられなかった。身が引き裂かれたようだった」と振り返った。戦闘開始直後は、空襲警報が鳴り響く中、「走り回る兵士が自宅から見えた」という。その直後に退避を余儀なくされ、しばらくして帰宅したところ、壁には弾痕があった。
学校再開に当たり、砲弾などによる被害が出た校舎は修復された。しかし、ドローンが墜落したという中庭の花壇には幹が燃えた樹木が残ったまま。校舎にはもともと堅固なシェルターが備えられているが、校門前にも避難所が設置されていた。
同校で生徒の精神的ケアを担当するダニット・ハダドさん(39)は、各地に離散した生徒を訪問し、家族も含め相談に乗ってきた。「避難中は自殺願望や摂食障害を訴える生徒がいた」と打ち明ける。「学校再開後もトラウマが残り、学校に来られなくなる生徒が出る恐れがある」と懸念を示した。
英語教員のニツァ・シュワルツさん(58)は停戦を喜び、「中東地域でこれ以上犠牲者が出ないよう祈っている」と語った。ただ、デビドビッチさんを含む男子生徒からは、卒業後の兵役で戦闘部隊への配属を希望する声が相次いで聞かれ、中には「国が望むなら人だって殺す」と力を込める生徒もいた。(シロミ=イスラエル=時事)
[時事通信社]
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