米政治家はトランプ氏に逆らえない 「暴君ネロ」演説で話題の仏議員
【パリAFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領を「暴君」として悪名高いローマ皇帝ネロ、米大統領上級顧問のイーロン・マスク氏を麻酔薬ケタミンを乱用する「道化者」になぞらえた演説が話題となったフランスの上院議員が、米国の政治家はトランプ氏に逆らうことができないとの見解を示した。≪写真は、フランスのクロード・マルリュ上院議員≫
フランス議会上院本会議場は厳粛な議論の場であり、そこでの演説が世界中で話題になることは通常ない。
だが、クロード・マルリュ上院議員の先週の演説は、精彩に富んだ言葉遣いで世界中の注目を集めた。元医師である同議員は、エマニュエル・マクロン大統領と連携する派閥に属するベテラン政治家で、閣僚や下院議員、市長を務めた経験もある。
マルリュ議員は演説で「米政権はネロの宮廷と化し、扇動的な皇帝、従順な廷臣、そして公務員の粛清を担当するケタミンをやっている道化者を抱えている」と述べ、トランプ氏をネロ、米政府効率化省(DOGE)の責任者を務める世界一の大富豪マスク氏を道化者になぞらえた。
同議員の演説には有志によって英語字幕が付けられ、数百万回再生され、国際ニュースネットワークでも放映された。
■「想像もしなかった」
マルリュ議員はAFPのインタビューに対し、ウクライナと欧州の安全保障に関する上院での討論中の8分間の演説で、多くの米国人の「懸念」と「怒り」を代弁したと語った。
同議員は「インターネットユーザーの有志が英語に翻訳し、特に米国でこれほど話題になるとは想像もしなかった」として、政治的分極化した左右両派が感じているトランプ氏の行動に対する米国人の不安を代弁したにすぎないと語った。
「それ(演説)以来受け取った非常に多くのメッセージから判断すると、米国人は今、政治家がトランプ氏に逆らうことができないと感じていると思う」として、「もちろん共和党員は報復を恐れているので、彼に反対する人でさえも何も言わない」「民主党もまだ大統領選の敗北から立ち直れておらず、機能していない」と続けた。
「私が受け取ったメッセージの多くは『(米国の政治家に)声を上げる人が一人もいないのに、なぜフランスの政治家が声を上げたのか?』というものだった」とマルリュ議員。
大統領選でトランプ氏に投票した人ですら、トランプ政権は「悪いスタートを切っており、何よりも世界秩序が疑問視されている」と思い始めていると訴えた。
■「裏切り者に支えられた独裁者」
マルリュ議員は演説で、欧州は「歴史の重大な分岐点」に立たされていると主張。「米国の盾は消え去りつつあり、ウクライナが見捨てられる恐れがある一方、ロシアは強化されている」と続けた。
「ディール(取引)の王様」トランプ氏が発しているメッセージは「彼の同盟者になることは無意味だ。なぜなら彼はあなたを守らないからだ」というものだと指摘。
さらに、トランプ氏が「民主主義の強奪」を主導していると非難し、「敵に降伏した」米大統領は「歴史上一人もいない」と指摘。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に言及して「われわれは独裁者(プーチン氏)と戦争していた」が、「今度は裏切り者(トランプ氏)に支えられた独裁者(プーチン氏)と戦っている」と述べた。
マルリュ議員は、トランプ氏がホワイトハウスの大統領執務室で「戦争の英雄」ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と白熱した議論を交わした際、ゼレンスキー氏を「馬丁」のように扱っていたと批判した。
マルリュ議員はAFPのインタビューで、トランプ氏とマスク氏が日々繰り返している非難と比べれば、自身の発言は「非常に敬意を払った」ものだと主張。「私は彼らを侮辱していない」と強調した。
一方で「精彩に富んだ表現」を使ったことは認め、「侮辱や悪態よりも精彩に富んだ表現の方がいい」と述べた。【翻訳編集AFPBBNews】
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