侵攻3年、ウクライナ窮地=戦場で劣勢、頭越しの停戦交渉―ゼレンスキー氏「平和実現なら辞任」

【キーウ時事】ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で3年。国際社会は外交と制裁を駆使し、ロシアのプーチン大統領による「力による現状変更」を阻止しようとしてきたが、戦況はロシア優位に傾いている。1月に発足したトランプ米政権はロシア寄りの姿勢を鮮明にし、ウクライナの頭越しにロシアと停戦交渉を開始。ウクライナは軍事・外交両面で窮地に立たされている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は22日のビデオ演説で「正義が空虚な言葉であってはならない」と述べ、国家主権や領土の一体性を守る重要性を改めて訴えた。さらに、23日の記者会見では「ウクライナが平和になり、私が辞任する必要があるなら、その用意がある。北大西洋条約機構(NATO)加盟と引き換えでもいい」と語った。
ウクライナでは今も東・南部の前線で地上戦が続き、全土がドローンやミサイル攻撃にさらされる。両国の戦死傷者は100万人を超えたとされ、民間人1万人以上も犠牲になった。
ウクライナは昨年8月、戦局の転換を狙いロシア西部クルスク州に攻め込んだが、ロシアは北朝鮮から1万人以上とされる「援軍」を受けて対抗。逆にウクライナ東部で占領地を拡大している。
プーチン氏に追い風となっているのが、停戦を自らの手柄にしようと前のめりなトランプ大統領の存在だ。米ロは今月12日に首脳電話会談、18日にはサウジアラビアで高官協議を実施した。トランプ政権はウクライナのNATO加盟に否定的見方を示すなど、ゼレンスキー氏が停戦の前提条件とする「安全の保証」を確約していない。
蚊帳の外に置かれたゼレンスキー氏は「ウクライナ抜きで戦争を終える決定はできない」と反発。「トランプ氏は偽情報の空間に住んでいる」と批判したが、これがさらなる怒りを招いた。トランプ氏は21日、米FOXニュースのラジオ番組で、停戦交渉へのゼレンスキー氏出席が「重要だと思わない」と発言した。米国が支援の見返りに要求するレアアース(希土類)供与について、ゼレンスキー氏が首を縦に振らなかったことにも不満を示した。
一方、昨年の大統領選で勝利し通算5期目に入ったプーチン氏は、言論統制を強化し、国民の反戦デモを封じている。ロシアの祝日「祖国防衛者の日」に合わせた23日のビデオ演説では「特別軍事作戦(侵攻)の全ての参加者の不屈の精神と勝利への決意に感謝する」と述べ、余裕をのぞかせた。

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