2025-02-15 15:50

使用済み核燃料、搬出なお不透明=工程見直し、福井県の対応焦点―関電

 関西電力は、原発から出る使用済み核燃料の搬出方針を見直し、福井県に工程表を示した。県内に立地する原発の貯蔵容量が限界に迫る中、フランスへの輸送量を倍増させるとともに、再処理工場への搬出計画も盛り込んだ。しかし、海外搬出は一時的な措置に過ぎず、再処理工場も未完成。実効性は不透明なままだ。
 「県議会や立地町などの議論を踏まえて厳しく判断する」。13日に関電が示した工程表の受け入れ可否について、杉本逹治知事は翌日の定例記者会見でこう述べた。
 工程表によると、関電は実証研究のために仏企業に提供する使用済み燃料を、従来計画の約200トンから約400トンに増やし、2027年度以降順次搬出。また、28~30年度にかけて、日本原燃が建設中の再処理工場(青森県六ケ所村)に計198トンを搬出するとしている。
 しかし、仏企業はこれ以上の受け入れは困難との見通しを示しているという。関電が継続的な搬出先と位置付ける再処理工場も1993年の着工以来、完成延期を繰り返している。
 そもそも新たな工程表は、昨年8月に原燃が27回目の完成延期を決めたことを受けて見直したもの。だが関電は、「計画通り竣工(しゅんこう)させる」(担当者)と説明するだけで、再延期の想定はしていない。
 県はこれまで「発電は引き受けるが燃料は引き受けない」として、使用済み燃料の県外搬出を求め続けてきた。関電は使用済み燃料を一時的に保管する中間貯蔵施設を県外に設置すると表明したが、候補地探しに難航し、具体的な回答を何度も先送りしてきた経緯がある。
 一方、関電は使用済み燃料を陸上で保管する乾式貯蔵施設を原発敷地内に設置する計画を並行して進めている。地元には「なし崩し的に保管が長期化されるのではないか」(ある県議)との懸念もあり、県の対応が焦点となっている。 
[時事通信社]

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