「少女がガス室に」=生存者証言、差別反対訴え―アウシュビッツ解放80年
【オシフィエンチム(ポーランド南部)時事】ガス室に消えた少女、煙突から広がる異臭―。ポーランド南部のアウシュビッツ強制収容所跡地で27日に開かれたナチス・ドイツからの解放80年を記念した追悼式典で、生き延びた元収容者らがユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の体験を語った。
解放時に6歳だったトーベ・フリードマンさん(86)は、収容所への移送用の列車内に響く大人たちの「絶望の泣き声と祈り」に今でもさいなまれていると話した。いてつく寒さの中、ガス室に向かう少女らを「なすすべもなくただ見ていた」と悲愴(ひそう)な光景を振り返った。
遺体が焼却されるたびに漂う臭いに「気が狂いそうだった」と語ったレオン・ワイントラウブさん(99)は、母とおばをガス室で殺害された。ホロコーストの経験を踏まえ、「(他者を)異質なものと見なすことが激しい迫害につながるということを生存者は知っている」と指摘。「肌の色や宗教、性的指向などにどうか敏感であってほしい」と差別をなくすよう呼び掛けた。
式典は、50カ国以上の代表が立ち会う中で厳かに執り行われた。一方、収容所の「解放者」でありながら、ウクライナ侵攻で批判を浴び招待されなかったロシアの代表の姿はなく、パレスチナ自治区ガザでの戦闘に絡み国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているイスラエルのネタニヤフ首相も欠席。現代の戦争が影を落とした。
ネタニヤフ氏は27日、X(旧ツイッター)への投稿でICCについて「反ユダヤ主義的な攻撃を行い、恥をさらした」と批判。ガザで戦闘を展開したイスラム組織ハマスを「新たなナチス」と呼び、敵意をむき出しにした。式典に参列したウクライナのゼレンスキー大統領はXで、「国民全ての命を破壊しようとする悪は今も存在する」とロシアを非難した。
[時事通信社]
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