中国AI、米国製追い上げ=低コストで同等性能、競争激化
【シリコンバレー時事】中国の生成AI(人工知能)開発企業「ディープシーク(深度求索)」が、米国のAI業界を揺さぶっている。同社の先端モデルが米国製より低コストで、同等の回答性能を実現したためだ。中国勢の急速な追い上げへの警戒感から、27日の米市場ではハイテク株中心の米ナスダック総合指数が前週末終値比612.47ポイント安と急落した。
注目を集めたのはディープシークの生成AIモデル「R1」。数学的な指標で、米オープンAIの「チャットGPT」の基盤モデル「o(オー)1」に匹敵する回答精度を示した。米アップルのアプリストアでは、R1を組み込んだチャットサービスが無料アプリで首位に立った。
驚きを誘ったのは、コストパフォーマンスの高さだ。AIモデル一つにかかる学習コストは600万ドル(約9億円)以下といい、事実であれば1億ドル(約154億円)以上ともされる米企業のモデルに比べはるかに安い。米国の対中輸出規制下で、最新のAI半導体を用いずに高性能と低コストを両立させた格好だ。
著名ベンチャー投資家のマーク・アンドリーセン氏は、「AIのスプートニク・モーメント」と形容。人工衛星の低軌道投入に初めて成功した旧ソ連のロケットになぞらえた。自由に改変できる「オープンソース」のモデルのため、開発者の利用が増える可能性がある。
R1は、情報量と計算能力の増加に伴いAIの性能が向上するという従来の見方を覆した。これにより、AI半導体で世界トップシェアのエヌビディア株は27日、17%下落。グーグル親会社のアルファベットやマイクロソフトも売られた。
20日に就任したトランプ大統領は、経済安全保障の観点からAI開発を促進する方針。R1の登場で、米中のAI開発競争は激化の兆しを見せている。
[時事通信社]
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