「やっと名前残せた」=阪神大震災、21人銘板追加―神戸
来年1月で阪神大震災から30年となるのを前に、犠牲者らの氏名を刻んだ「慰霊と復興のモニュメント」(神戸市中央区)に14日、新たに21人の銘板が追加された。参加した遺族の1人は自らの手で銘板を貼り付け、「やっと名前を残せた」と故人の冥福を祈った。
神戸市在住で切り絵作家のとみさわかよのさんは、祖父の多田英次さん=当時(87)=の銘板を追加した。神戸大などで長年教壇に立っていた多田さんは、1995年1月17日、同市東灘区の自宅で被災。兵庫県宝塚市に避難したが、持病が悪化し、震災の翌年に亡くなった。
「あの日の朝にいきなり命を奪われた人と、祖父の名を並べていいのか」。そんな葛藤もあったが、30年の節目を前に「震災を歴史として捉え直し、生々しい祖父の記憶に一度区切りをつけたい」との思いから、参加を決めた。とみさわさんは「祖父が大好きだった街にやっと名前を残せた。神戸の街に名前が残るという実感が湧いた」とかみしめるように語った。
モニュメントは2000年1月に設置。今回は震災の犠牲者3人と、遠因で亡くなった8人のほか、3月に亡くなった政治学者の五百旗頭真さんら震災復興に尽力した10人の名前も加わった。モニュメントに刻まれた名前は計5068人となった。
[時事通信社]
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