韓国国会、尹大統領の弾劾案可決=史上3人目、職務停止―戒厳の違憲性指摘
【ソウル時事】韓国国会は14日、「非常戒厳」を3日に宣言した尹錫悦大統領の弾劾訴追案を可決した。全300議員が出席し、賛成が204票、反対が85票、棄権が3票、無効が8票だった。与党「国民の力」は反対する方針だったが、造反が続出した。韓国大統領の弾劾訴追は、史上3人目となった。尹氏は職務停止となり、韓悳洙首相が代行する。憲法裁判所が180日以内に弾劾事由を認め罷免すべきか判断する。
弾劾案は、最大野党「共に民主党」など野党6党が12日に再提出。戒厳宣言後の国会への軍投入や一切の政治活動を禁止する布告が、戒厳下での国会活動を認める憲法に違反したなどと指摘した。尹氏は可決後、国民向け談話を読み上げ「私は決して諦めない」と憲法裁で争う考えを示し、「最後の瞬間まで国家のために最善を尽くす」と強調した。
韓首相は「国政の安定的な運営に全力を尽くす」と表明。韓国政局が混乱する中、「誤った判断に基づく無謀な挑発」を北朝鮮にさせないように、警戒態勢の強化を軍に指示した。
世論調査で弾劾に賛成する国民は7割以上に上る。共に民主党の李在明代表は「国民が新しい歴史をつくっている」と評価。同党幹部は「偉大な国民の勝利だ」と述べた。
可決には全議員の3分の2以上の賛成票が必要。野党や無所属などを合わせると192人で、与党から8人以上の賛成が出るかどうかが焦点となっていた。可決後、大統領府は弾劾訴追議決書を受理し、尹氏の職務が正式に停止された。
7日に行われた1度目の弾劾案採決では、与党のほぼ全議員が投票に参加せず、廃案に追い込んだ。ただ、尹氏は12日の談話で「弾劾であれ捜査であれ堂々と立ち向かう」と主張。これに反発した与党の韓東勲代表は弾劾案に賛成すべきだとの立場に転じ、可決に向けた動きが広がった。可決後、韓代表は「結果を重く受け止める」と語った。
[時事通信社]
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