ウクライナ支援で結束要求=トランプ氏復権備え、各国に温度差も―最後のG20サミット・米大統領
【リオデジャネイロ時事】バイデン米大統領は18日、現職として最後となる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に臨み、ロシアの侵攻が続くウクライナへの支援継続に向けた結束を呼び掛けた。紛争の早期終結を掲げるトランプ次期米大統領の就任に備えた訴えだが、レームダック(死に体)化したバイデン氏の求めに、各国首脳の反応には温度差も見られた。
「米国はウクライナの主権と領土一体性を強く支持している。このテーブルを囲む全員がそうするべきだ」。バイデン氏は18日に開かれた「飢餓と貧困との闘い」がテーマの討議で、ウクライナ支援の重要性を訴えた。
返り咲きを決めたトランプ氏は選挙期間中から、ロシアとウクライナ双方の首脳に交渉を働き掛け、早期に紛争を終結させる姿勢を強調していた。実際にはロシアが占領した領土の割譲をウクライナに迫ることになるとして、バイデン政権の警戒感は強い。
大統領選後、バイデン政権は残り任期で軍事支援を急ぐ方針にかじを切った。ブリンケン国務長官は13日、ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部で記者団に対し、バイデン氏が来年1月の退任までに「可能な全てのドルを使い切ることを約束した」と表明した。
これまで消極的だった米国製長距離ミサイルによるロシア領内攻撃も、一転して容認。G20サミット開幕前日の17日に、米メディアが一斉に攻撃容認を報じた。姿勢転換を国内外に示し、各国に同調を迫る狙いがあったとみられる。
退任を控えた支援強化は、トランプ氏の復権に備え、ウクライナが「可能な限り最も強い立場」(ブリンケン氏)でロシアと交渉できるようにするためだ。だが、ドイツのショルツ首相は18日、独軍が保有する長距離巡航ミサイル「タウルス」供与について「慎重に行動すべきだ」と述べ、拒否する姿勢を固持。「良い決断だ」とバイデン氏を手放しで称賛したフランスのマクロン大統領とは一線を画した。
G20サミットには、ロシアの防衛産業を支援する中国の習近平国家主席も参加。18日の会合で「ウクライナ危機の沈静化と、政治的解決の道を模索すべきだ」と呼び掛けた。中立を装いつつ、米国をけん制した形だ。
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