クリーン・平和、色あせる看板=公明、苦境で迎えた結党60年
公明党は17日、結党60年の節目を迎えた。自民党との連立は四半世紀におよび、連立維持のため党の看板である「平和の党」「清潔な政治」は大きく揺らぐ。先の衆院選では、当時の石井啓一代表らが落選するなど敗北。斉藤鉄夫代表が緊急登板する中、公明は結党の原点が問われる再出発となった。
「庶民の声を聞く政党はないのかという声の中で生まれたのが公明だ。原点に立ち返って力を取り戻したい」。16日、広島市で記者会見した斉藤氏は、党の節目に当たりこう強調した。
公明は1964年11月、支持母体である創価学会の故池田大作名誉会長の提案を受けて結党した。99年には自民との連立政権に参加。一貫して「大衆福祉の党」を掲げて歩んできた。
公明は連立入りで、政策実現力を手に入れた半面、結党理念と連立維持のはざまで揺れてきた。2014年に閣議決定された集団的自衛権の行使容認は、創価学会や公明内にも反対意見が根強かったが、容認に転じた。「限定容認」などの歯止めを講じたものの、「平和の党」のイメージが低下した面は否めない。
最近では、「クリーンな政治」という金看板に傷が入る事態に直面している。10月の衆院選で、公明は自民が派閥裏金事件で非公認とした候補も含めて推薦。自民との選挙協力を優先したためだが、野党などから厳しく批判された。結果は8議席減の24議席に後退し、党内からは執行部の判断に批判の声も上がった。ある議員は「党の原点が傷ついた」と憤りを隠さない。
来年は参院選に加え、公明が国政選挙並みに重視する東京都議選が控える。斉藤氏は9日の代表就任会見で、衆院選を振り返り「国民の怒りへの理解が足りなかった」と反省の言葉を口にした。その足で向かった首相官邸では、石破茂首相(自民総裁)に「政治資金問題にけじめをつけなければ、来年の参院選まで尾を引く」と迫った。
強力な集票力を誇った支持母体も組織の高齢化が指摘され、衆院選比例代表で公明の得票は前回から100万票以上減らし過去最低の596万票となった。焦りの色をにじませる斉藤氏にとって、党立て直しの前途は険しそうだ。
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