トランプ氏、権力肥大化=議会掌握し「トリプルレッド」―4年ぶり凱旋、景色一変
【ワシントン時事】トランプ次期米大統領(78)は13日、大統領選に勝利後初めて首都ワシントンを訪れた。折しもこの日、大統領選と同時に行われた議会下院選で、共和党が多数派を維持する見通しとなり、赤をシンボルカラーとする共和党がホワイトハウスと上下両院を支配する「トリプルレッド」が実現するとみられている。党内外に敵を抱えた1期目から景色は一変し、返り咲きを決めたトランプ氏の権力は、大幅に強化される。
◇議会に手足
「ドナルド、おめでとう」「円滑な政権移行に感謝するよ、ジョー」。バイデン大統領とトランプ氏は互いをファーストネームで呼び、ホワイトハウスの大統領執務室でにこやかに握手。内外情勢を巡り2時間にわたって意見を交わした。
トランプ氏がホワイトハウスを訪れたのは、2020年大統領選の敗北にあらがい、21年1月の連邦議会襲撃事件を招いた末に退任して以来。雌伏の4年を経て、復権を実感した瞬間だった。
「異端児」としてワシントンに乗り込んだ1期目は、時に共和党内の旧主流派と衝突した。その筆頭格だった上院トップのマコネル院内総務は今月で退任する。後任に選出されたスーン次期院内総務は13日、「トランプ氏の優先課題を遂行するため、米国民の委任を受けた」と記者団に強調。厳格な国境警備や「官僚機構の合理化」といったトランプ氏の公約実現に努める考えを示した。
下院では「トランプ派」のジョンソン議長が引き続き党議員団を率いる。20年大統領選の結果を覆そうとした罪でトランプ氏を起訴したスミス特別検察官は、トランプ氏の就任前に辞任すると報じられ、事件は立ち消えとなる見通しだ。
◇高官人事が物議
一方、トランプ氏が進める高官人事では、物議を醸す名前も出始めた。とりわけ衝撃を広げたのが、ゲーツ共和党前下院議員の司法長官起用だ。ゲーツ氏はトランプ氏の「忠臣」として知られ、連邦捜査機関の廃止などを追求してきた過激な右派。民主党全国委員会は、声明で「報復のための危険な計画を実行させようとしている」と批判した。同氏は未成年との性行為など複数の疑惑も抱える。
トランプ氏はさらに、意に沿わない軍高官の解任を容易にするための委員会設置を計画し、既に「粛清リスト」を作成しているとも伝えられる。「初日だけ独裁者になる」と語ったトランプ氏は、「有言実行」にまい進している。
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