高まる暴力への懸念=結果受け入れ巡り分断加速か―米大統領選
【ワシントン時事】米大統領選を5日に控え、米国では政治的背景を伴う暴力増加への懸念が高まっている。民主、共和両党のどちらの候補が勝つにせよ、選挙結果の受け入れを巡って社会の分断がさらに加速する可能性がある。
ワシントン・ポスト紙が激戦州の有権者を対象に実施した世論調査によると、共和党のトランプ前大統領が負けた場合の支持者の暴力が「心配」だとする回答は、57%に達した。民主党のハリス副大統領の敗北を想定した場合でも、31%が暴力への懸念を示した。
2021年1月6日、前年の大統領選の結果に不満を持つトランプ氏の支持者が暴徒化し、連邦議会を襲撃した事件は記憶に新しい。トランプ氏は今回も「選挙が不正でなければ、われわれが勝つ」と語り、敗北を受け入れない可能性を示唆している。
米NPO「憎悪と過激主義に反対するグローバルプロジェクト」がSNS上での言葉遣いなどを調べたところ、今年10月に入ってから暴力的な表現が急増し、議会襲撃事件前と同様の傾向を示している。特に極右のトランプ氏支持者が「不法な有権者を射殺せよ」「民主党が不正に勝利すれば、内戦が起こる」といった過激な投稿を行っていたという。
既に暴力の兆候も表れている。西部ワシントン、オレゴン両州では期日前投票の投票箱が発火装置で燃やされた。南部テキサス州でも、選挙運動用の身なりで入場することを禁じられている期日前投票所でトランプ氏支持を示す帽子をかぶっていた男が、注意した係員を殴る事件が起きた。
国土安全保障省は今回、来年1月6日に連邦議会で行われる次期大統領の承認手続きを初めて「国家特別警備事案」に指定した。議会襲撃事件のような混乱を阻止するため、当日は米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の王座決定戦スーパーボウル並みの厳戒態勢が敷かれるという。
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