自民、国民と「部分連合」検討=所得・ガソリン減税焦点
石破茂首相(自民党総裁)は、与党が過半数を失った衆院選の結果を受け、国民民主党に対して政策ごとに連携する「部分連合」を呼び掛ける方向で検討に入った。所得税の負担が生じる「103万円の壁」見直しや、ガソリン税の暫定税率廃止など、国民民主の主張を受け入れられるかが焦点だ。
政権幹部は29日、部分連合について「国民民主が第一候補だ。政策が似ている」と指摘。首相が策定を指示した総合経済対策に、国民民主の主張を取り込むことも「可能性はある」と語った。
首相は28日に公明党の石井啓一代表と会談した際、「親和性の高いところと組む」と伝えた。自民は既に、国民民主の意向を探るため、幹事長間で接触。日本維新の会との連携も視野に入れる。
政府・与党は首相指名選挙を行う特別国会について、11月11日召集で調整。与党の新勢力は自民191、公明24の計215議席で、当選した非公認組を加えても過半数(233議席)に届かない。
一方、立憲民主党は躍進し、148議席を獲得。野田佳彦代表は30日に維新、共産両党と個別に党首会談を行い、指名選挙での協力を求める方針だ。多数派形成の行方は、国民民主(28議席)や維新(38議席)の動向がカギを握る。
国民民主の玉木雄一郎代表は29日の記者会見で、連立政権入りを重ねて否定。その上で「政策実現に全力を傾けたい。衆院選で伸ばした政党が掲げる政策は今の民意だ」と強調した。
指名選挙への対応については、決選投票にもつれ込んだ場合でも「玉木雄一郎」と投票する考えを示した。ただ、TBS番組では「政策が実現するなら、それも加味した判断はあり得る」と述べ、他党への協力にも含みを残した。
ガソリン税の暫定税率分の税収は年間約1兆5000億円。「103万円の壁」見直しも大幅な税収減につながりかねないが、自民内では「消費税率の引き下げ以外は受け入れるしかない」(関係者)との声が出ている。
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