東京株、691円高=衆院選通過、景気刺激策に期待感―円急落も後押し
28日の東京株式市場で、日経平均株価は一時、前週末比800円超上昇した。27日投開票の衆院選で自民・公明の与党は過半数に届かなかったが、与党の大敗は事前報道などで想定されていて「イベント通過によるあく抜け感」(中堅証券)が出たほか、来夏の参院選に向け与野党が景気刺激策を掲げるとの期待が広がり、買いが優勢になった。円相場の急落も後押しとなった。終値は691円61銭高の3万8605円53銭。
朝方は、与党大敗による政局の不安定化を懸念した売りも出た。ただ、日経平均は前週だけで1000円超下落して値頃感があったため、売り一巡後は買いが強まり幅広い業種が値上がりした。
与党が過半数を獲得できず、先行きの政権運営に不透明さが生じたことは、海外投資家による日本株投資を鈍らせる要因になる。だが、来夏に参院選も控えており、市場には「与野党とも支持獲得のために景気刺激的な政策を掲げることになり、株価にはプラスになる」(銀行系証券)との見方がある。さらに、日銀の利上げを容認する姿勢を一時見せていた石破茂首相の求心力が低下すれば、「利上げが遠のくとの連想が働く」(同)ことも株価への支援材料になるという。
これに対し、「政局が不安定化して政策が滞れば下値を模索する可能性はある」(国内証券)との警戒感も根強い。28日の日経平均の大幅な上昇は「先物の買い戻しという一時的な需給要因によるところが大きい」(大手証券)として、一段の株高に疑問を呈する市場関係者もいた。
一方、28日の東京外国為替市場は、円相場が一時1ドル=153円台後半に急落した。7月30日以来、約3カ月ぶりの安値水準となる。政局の先行き不安を嫌気した海外投資家などによる円売りが強まった。米長期金利上昇を受け、日米の金利差を意識した円売りも出た。午後5時現在は153円32~34銭と前週末比1円37銭の円安・ドル高。
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