事故時の写真、2年半後に復元=デジカメ発見、遺族「奇跡」―北海道・知床観光船沈没
北海道・知床半島沖で2022年4月、26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、犠牲になった乗客のデジタルカメラから、2年半ぶりに事故当日の写真が復元された。デジカメを見つけたのは、これまでボランティアで行方不明者の捜索に当たってきた漁師らで、遺族は「見つかったことは本当に奇跡だ」としている。
今年8月、羅臼町の漁師桜井憲二さん(61)ら4人が慰霊のために訪れた知床岬の先端部付近で発見した。事故に巻き込まれた千葉県松戸市の※(木ヘンに勝)島優さん=当時(34)=の物と判明し、道警を通じて遺族の元に届けられた。
※島さんの両親が専門会社に解析を依頼したところ、今月上旬に解析が完了し、事故当日の約80枚を含む計約700枚の復元に成功。知床半島の雄大な自然が船から撮影されていたほか、乗客が乗船する様子を捉えた写真もあった。
写真は今月20日に札幌市内で開かれた遺族の家族会で配られた。事故で行方不明となった小柳宝大さん=当時(34)=の父親は「当日どんな服装で行ったか分からなかった。貴重な写真だ」と語った。
桜井さんは「カメラの中のデータを見てほしいという目に見えない意思を感じた」と振り返り、「(復元できて)良かった。つらいだろうが、家族の最後の姿を見ることができたのでは」と遺族の胸中を推し量った。
※島さんの両親は「息子が最後に目にした景色を私たちも見ることができ、感慨ひとしおでした。ですが息子はきっと、私たちに写真を見せながら楽しかった旅の思い出を話したかっただろうと思うと、その無念さに胸が締め付けられ、悲しみを新たにしました」とのコメントを出した。
事故では、運航会社社長の桂田精一被告(61)が業務上過失致死罪で今月9日に起訴され、釧路地裁は22日、公判前整理手続きを行う決定をした。桂田被告側は起訴内容を争うとみられ、初公判までは時間がかかる見通し。
[時事通信社]
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