グループの拠出「過去最大」=援助側負担、通貨安で重く―最貧国支援機関の増資・世銀首脳
【ワシントン時事】世界銀行バン・トロッツェンバーグ上級専務理事は、最貧国向け支援を担う国際開発協会(IDA)の新規増資で、世銀グループの拠出額を「過去最大規模」にすると語った。日本を含む主要援助国は財政悪化やドル建て拠出負担の増大に見舞われており、世銀自らが率先して資金を出すことで各国の協力を促す。23日までに時事通信のインタビューで明らかにした。
IDAは最貧国に無利子または低利の長期融資や資金贈与を行う。過剰債務や気候変動、食料・エネルギー価格の高騰といった「複合危機」に直面する国が増える中、最貧国支援はワシントンで開催中の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の議題となっている。
世銀は高まる資金需要に対応するためIDAの融資能力の強化を計画。韓国で12月に増資に関する最終協議を行う。過去最高だった前回2021年の930億ドル(約14兆円)を上回る支援額を目指す。
バン・トロッツェンバーグ氏は「多くの援助国が財政、通貨安の問題を抱えている。日本の場合は通貨だ」と説明した。円安により、日本がドル建てで資金拠出する際の財政負担が増している。
同氏は「最も重要なのは(最貧国との)強い連帯意識。日本の継続的なリーダーシップを望む」と貢献に期待。さらに、十分な増資額が集まるよう「各国が少しずつ(拠出を)増やすことが求められる」と訴えた。日本は米国に次ぐ第2位のIDAへの資金拠出国。
一方で「援助国が難しい時期にあることも留意しなければならない」と指摘。世銀グループの国際機関が「過去最大規模を拠出し、前例のない水準になる」と明言した。世銀が自ら資金を負担する姿勢を示し、援助国の協力を得たい考えだ。
グループ中核の国際復興開発銀行(IBRD)は利益の一部をIDAへの拠出に充てている。前回増資では9億ドルだったが、今回はこれを大幅に上回る見通しという。
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